キタサンブラックとミホノブルボン 世代を超えた“坂路の申し子”

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ミホノブルボンとキタサンブラック、もう一つの共通点

ハードトレの結果「厩舎のボトムアップにつながった」と振り返る安永助手 【netkeiba.com】

 リスクも背負っていたであろうハードトレーニングのメリットを安永助手は厩舎スタッフとしてどう感じていたのだろうか。

「言葉は悪いかもしれませんが、血統的に全然大したことない馬でもそれ以上の結果を残していました。どの馬も競馬に行って大負けはしなかったんです。たとえ人気がなくてもみんな踏ん張るんですよね。あぁ、うちの厩舎の馬って強いなって思いました。それはハードトレーニングをしていたからでしょう。ちゃんとトレーニングしないと馬も落ち着いてきませんし、いざというときの踏ん張りが効かないんでしょうね。
 未勝利で土俵際まで行った馬を『ダメでもいいからやってみよう』って、先生は最後に攻めていました。それで馬が変わって勝利を挙げられた馬もいましたし、結果として厩舎のボトムアップにつながったと思います。どんどん積みあがった結果がミホノブルボンだったんでしょうね」

 近年、トレセンでの調教はハードトレーニングとは逆を目指す風潮があるように思う。

「現場の感覚的には、出来上がっている馬をあえて攻め込む必要がない、というのがあるにはあります。だから、キタサンブラックのように今の時代にハードトレーニングをやるっていうのは本当にすごいと思います。それも、あれだけの馬ですから。
 でもね、普通の調教なら2000m(大阪杯)でも3200m(天皇賞・春)でもって両方に対応はできなかったと思いますよ。坂路で見かけますが、3歳の頃に比べてすごく風格がでてきていますよね。清水君(清水師)にもキタサンブラックにも本当にがんばってほしいです」

21日の最終追い切りを終えたキタサンブラック、坂路ハードトレで培った強さで宝塚記念でも他馬を圧倒してみせるか 【netkeiba.com】

 21日(水)、宝塚記念への最終追い切りを終えたキタサンブラックの馬房を訪ねると、驚くほど落ち着いた雰囲気でじーっと立っていた。

 その様子を見て、ふと安永助手の言葉を思い出した。

「ミホノブルボンは馬房ではじっとしていて、オンとオフの差がすごくよくできていました」

 人間でもトップアスリートはトレーニング後はよく寝るという。ハードトレーニングで鍛えられ、距離の壁を乗り越えてきた両馬だからこそ、馬房ではしっかりとオフモードに入るのかもしれない。

 キタサンブラックが宝塚記念を勝てば、2億円の褒賞金が出る。それだけの偉業を達成するかもしれない瞬間が、今週末に迫っている。

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