日本のプールA入りは幸運だった? 強化副委員長と「博士」が占う19年W杯

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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

和やかな雰囲気でトークを進める小林氏(写真左)と永友氏 【スポーツナビ】

 公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団と、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会が主催する「みなとスポーツフォーラム 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)に向けて」の第73回が5月31日、港区のみなとパーク芝浦・男女平等参画センターリーブラホールで開催された。

 今回は「組み合わせ決定!ラグビーワールドカップ2019を占う」と題し、解説に「ラグビー博士」として知られる小林深緑郎氏、ゲストに「Team Japan2019」男子15人制日本代表・強化副委員長を務める永友洋司氏を招き、司会はラグビージャーナリスト・村上晃一さんが務めた。

アイルランド、スコットランドと同組に

 ワールドカップの行方を大きく左右する組み合わせ。今回、ジェイミー・ジョゼフHC率いる日本(世界ランキング11位)はアイルランド(同4位)、スコットランド(同5位)、ヨーロッパ地区1、ヨーロッパ・オセアニアプレーオフ1が名を連ねるプールAに入った。この抽選結果を両氏はどのように感じたのか。

「素晴らしかったです」と振り返るのは小林氏だ。「最悪ニュージーランド、南アフリカと一緒になる可能性があったと思えば、生き延びられるなと。そこは避けられました」。

 永友氏はジャパンクラブで組織委員会のメンバーらと抽選会を見守り、ドロー結果に場内は盛り上がったと振り返る。一方、個人的には「エディー(・ジョーンズ前HC)と早くやって、エディーに勝ちたい」と、イングランドと同じプールに入りたかったと告白していた。

 対戦国それぞれの分析について、永友氏はアイルランドを「TI1(バンド1)の中では比較的やりやすい相手。ニュージーランド、オーストラリアよりは戦い方がシンプルなチーム」と語り、小林氏はスコットランドを「日本代表としては絶対に勝ちたいチーム。相手も(ワールドカップで)トライが取れなかった十数年間があって、そこからチームが変わり、今は上り坂にいます」と両国の歴史を交えながら紹介した。

エディー率いるイングランドは暑さに苦戦?

6月にはアイルランドとの“前哨戦”が行われた。写真は17日の第1戦でトライを決めた野口竜司(東海大) 【写真は共同】

 ほかのプールでは、プールCが「死のプール」と言われ、エディー前HC率いるイングランドが入ったことからも注目が集まっている。

 小林氏はイングランドが1位で抜けると予想しつつ、「ヨーロッパのチームは気候の影響を受けやすく、(高温多湿の)東アジアの大会だと今までと違う結果が出るかもしれません」と苦戦を予告。残暑の厳しい9月に開幕することから、序盤は難しい試合が続きそうだ。

 永友氏も「(気候に慣れるため)1年前の9月にチームをこそっと連れてきそうな気がします」と先の小林氏の意見に呼応。さらに、「エディーは情報を集めるのが好きで、ありとあらゆる情報を集めています。『これも調べとけ、あれも調べとけ』という形になると、周りのスタッフがパニックを起こしてしまい、大変になるのでは」と関係が深いからこそ知る弱点を指摘した。周到にしてくるであろう準備がどう出るのか、経過を見守りたい。

「ブライトンからすべてが変わった」

 ワールドカップはプールの上位2チームが決勝トーナメントに進出できる。今大会はまだ正式アナウンスがないものの、前回までの方式だと、初戦はプールAとプールBの1・2位、プールCとプールDの1・2位がそれぞれ「たすき掛け」の形で対戦。日本が決勝トーナメント進出を果たせば、プールBに入ったニュージーランド、南アフリカといった強豪といきなり激突するかもしれない。

 永友氏は「南アフリカとベスト8でやりたいですね。だから、1位で抜けていく。次にイングランドに勝って、エディーの悔しい表情を見たい。そして、決勝でニュージーランドに勝つのが理想です」と頂点を狙うプランを披露。本当に永友氏の語ったように進んでいけば、日本だけでなく世界中が興奮のるつぼと化すだろう。

 日本は6月にルーマニア、アイルランドとテストマッチを行った後、11月にオーストラリアとフランス、そして来年にはニュージーランドとの試合を控える。本番前に強豪との対戦機会が多く与えられている理由に、小林氏は「ブライトンからすべてが変わりましたね」と南アフリカを破った“あの日”を引き合いに出した。これに対し永友氏は2015年の躍進を前提にしつつ、「日本でワールドカップがあるから来たいというチームは多いです」と付け加えている。

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