恐れを知らぬ現代の開拓者ハーパー 素質とビッグマウスでMLBをカラフルに
リーグ全体のことを考える一面も
打撃でメジャーリーグを背負うだけでなく、言動でも多くの注目を浴びるハーパー 【写真:Getty Images】
「ベースボールは退屈なスポーツになっている。なぜなら自分を表現することが許されないからだ。ゲーム自体が退屈なわけではない。ベースボール以外の選手は試合中に感情をむき出しにしても咎められない。それがスポーツをよりドラマチックにしているんだ」
米国内では実際に若年層、黒人層のベースボール離れがささやかれて久しい。理由の1つはゲーム時間の長さとアクションの少なさで、近年は試合時間短縮の試みが始まっている。それと同時に、ハーパーの言葉通り、派手なパフォーマンスが許容されるNBA、NFLなどと比べ、感情が排されたゲームに物足りなさを感じる若いファンも多いはずである。
FAになれば超巨大契約は確実
「(ハービーのようなスターが)故障してしまうのは残念なこと。良い状態で早く戻ってきてほしい。最高級の投手との対戦は楽しいものだからね」
昨年7月、それまで26打数1安打と抑えられていたメッツのマット・ハービーの故障離脱が発表された際、ハーパーは目に見えて消沈していた。ハービーのような豪腕とのライバル関係は、リーグ全体の呼び物になる。そのことを理解した上でのスーパースターのコメントは、一部のメッツファンをも感嘆させた。
このハーパーは18年終了後のオフにはFAになり、その際には史上空前の争奪戦が勃発することは間違いない。早くもヤンキース、フィリーズなどの大都市チームは総額4〜5億ドル(約440億〜550億円)といった超巨大契約をオファーすることが濃厚と伝えられている。そこでどのチームに行くことになろうと、確かなのは、“Cocky(生意気)”なハーパーが自分らしさを失うことはないだろうということだ。
ビジネスライクな姿勢が依然として賞賛されるメジャーの体質は、ハーパーでも変えることはできないかもしれない。たとえそうだとしても、そのスリリングなプレーと言動は今後も多くのファンを楽しませていくに違いない。
現役最大の風雲児は、恐れを知らぬ現代の開拓者。ハーパーが元気に活躍した方が、メジャーリーグはよりカラフルでエキサイティングになる。ライバルチームのファンであっても、その事実は誰も否定できないはずである。