“考える野球”が和歌山大の真骨頂 初出場の全国で国立旋風なるか!?
和歌山大は大原監督(左)が全幅の信頼を寄せる眞鍋主将の下、“考える野球”を実践し、初のリーグ戦優勝を果たした 【写真は共同】
息を吹き返した指揮官の言葉
「今日が何の日か知っているか?」
怪訝な表情を見せた選手たちに、指揮官は続けた。
「第66回全日本大学選手権の抽選日だ。近畿学生の代表はシードで、関西学生と中国地区の勝者と対戦する。この舞台を目指してやっているんだろ!」
この言葉でチームは息を吹き返した。
4安打で6得点、3安打で4得点
近畿学生野球連盟の最終週、15連覇中の奈良学園大から連勝で勝ち点を奪い、全国の切符を手に入れた 【松倉雄太】
最終節、大学日本代表の宮本丈(4年・履正社)を擁する王者との直接対決。5月14日の1回戦では4安打ながら6点を奪い勝利。17日の2回戦でもわずか3安打で4点を挙げて連勝。見事に初優勝を果たした。
この、4安打で6点、3安打で4点が和歌山大の真骨頂。主将の眞鍋雄己(4年/高川学園)は、「いつの間にか点が入っている。これが僕たちの野球です」と話す。試合では眞鍋を中心に選手たち自身で“考える野球”を実践。ほとんどがノーサインだ。指揮官がスクイズかと思っていても、選手たちが阿吽(あうん)の呼吸で『ゴロGO』を選択して1点をもぎとる場面もあった。
2年秋からの主将に全幅の信頼
「最上級生が主将だと、チームが良くなってきた時に卒業になってしまう」
行動力、発言力のある眞鍋に練習も任せた。他部と併用のグラウンドを使っての全体練習は週4日と制約があるため、早朝を利用しての自主練習を提案したのも眞鍋だった。授業の合間にも可能な限り体を動かすことも始めた。「ゲームの中でも彼が監督。人間的にも素晴らしく、彼が4年生になるときを意識してきた」と大原監督は主将に全幅の信頼を置く。
初の大学選手権。「選手たちを誇りに思います。夢のようです」と語る大原監督。主将の眞鍋は、「食らいつきたい」と意気込みを見せた。初戦の相手は、5日の1回戦で近畿大(関西学生野球連盟)に4対2と勝利した150キロ右腕・近藤弘樹を擁する岡山商科大(中国地区大学野球連盟/試合は7日・神宮球場9時開始〜)に決まった。部員全員でこの一戦を見届けると、大原監督は「頑張ります」と決意を新たにした。神宮の舞台でも持ち味の“考える野球”を存分に見せるつもりだ。
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