日本のバスケに変化はあったのか Bリーグ初年度を振り返る 競技力編
NBA経験者の増加とメンタルの充実
彼らに対抗するためにはこれまで以上のスキルが求められ、チームとして対応しなければならない場面も。ましてやチームメートとして一緒に過ごせば、得るものも多かったはずだ。Bリーグで体感するのは世界標準であり、来シーズン以降も大物外国籍選手の加入を期待したい。
最後に、数字などで表すことが難しい「心」の部分。ここにこそBリーグで戦うがゆえの進化があったと感じられた。旧NBLの選手たちには“プロ”としての心構えが強く植え付けられ、旧bjリーグの選手たちは、埋めなくてはならない実力差を感じたかもしれない。これは「競技力」を測るものさしにはならないかもしれないが、双方が足りないと感じたことを真摯(しんし)に受け止め、努力を重ねたり、切磋琢磨(せっさたくま)したりすることで、Bリーグ全体に良い効果をもたらしたのではないだろうか。
多くのファン・ブースターの声援に後押しされ、コートに這いつくばるようにルーズボールを追い、何度もあきらめずにリバウンドに跳ぶ。たとえ大差がついても、次の試合につながるプレーをし、“次こそは”とリベンジを果たすケースも多々あった。勝敗にかかわらず、個人スタッツにかかわらず、そんなメンタルの強さが養われたはずだ。
そのメンタルタフネスでいえば、栃木ブレックスの田臥勇太や川崎ブレイブサンダースの篠山竜青が見せたキャプテンシー、日本代表のエースとして期待される比江島慎(シーホース三河)や田中大貴(A東京)、辻直人(川崎)らが「ここは俺が決める!」とばかりに果敢にゴールへアタックする姿などが印象的だった。これまでのリーグでそれがなかったわけではないが、多くの注目を集めてスタートしたBリーグだからこそ、「心」の部分でより充実したと信じたい。
選手も感じた競争の激化
何としてもファンやブースターのあと押しが必要であり、一緒に戦う気持ちがBリーグの競技力をますます向上させていくことになる。1万人超の観客が見守ったチャンピオンシップ・ファイナルに勝利し、初代王者の栄冠を勝ち獲った田臥(栃木)は、試合後の記者会見で、「リーグが一つになったことでどのような変化を感じたか?」と問われてこう答えた。
「競争がより激しくなった。(チームも選手も)どんどん成長していくチャンスがあるなと、1シーズンを戦って思いました。可能性を秘めたリーグになるなと感じていましたし、選手たちがもっと頑張って、そういうリーグにしていかなければいけない」
この言葉は、初年度のBリーグを通して、日本のバスケットボールに関わる誰もがこれまで経験したことのないほど期待感が膨らんだ証しとなる。皆が、熱気をはらんだアリーナの光景に何度も圧倒された。この熱気を今度は、ファンも一体となって日本代表に注いでもらいたい。そうすれば、Bリーグの競技力向上を一緒に見届け、確信を得ることができるからだ。