乾貴士「W杯にはもちろん出たい」 バルサ戦の2ゴールを手土産に代表復帰

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シーズンを終えて5月24日に帰国した乾貴士。約2年2カ月ぶりに日本代表に復帰した 【写真は共同】

 日本人選手にとって、鬼門と言ってもいいリーガ・エスパニョーラ。この世界最高峰のリーグで日本人選手はことごとく高い壁に跳ね返されてきた。これまで在籍した選手は城彰二(バジャドリード)、大久保嘉人(マジョルカ)、中村俊輔(エスパニョール)ら8人。しかし、いずれも出場機会に恵まれず、最も多くの試合に出て、ゴールを決めたのは大久保の1シーズン半で39試合出場、5ゴールというものだった。

 だが今季、そんな鬼門のリーグで輝きを放ったのは、エイバルの乾貴士。リーグ戦で28試合に出場し、3ゴール。2シーズンを通して、55試合、6ゴールといずれも大久保が持っていたリーガ日本人最多試合出場、最多得点記録を更新した。特に最終節のバルセロナ戦では圧巻の2ゴール。バルセロナから初めてゴールを奪った日本人となり、最終的には2−4で敗れたが、優勝の可能性を残していたカンプ・ノウのサポーターを大いに慌てさせた。

 その活躍がヴァイッド・ハリルホジッチ監督に認められ、2015年3月以来、約2年2カ月ぶりに日本代表に復帰。そんな乾に今季のスペインでのプレーや代表について聞いた。

つまずいた2シーズン目のスタート

――スペインでの2シーズン目を終えて、ここまで早かったですか? それとも長かったですか?

 どっちですかね。長かったと言えば長かったですけれど、あっという間といえばあっという間でした(笑)。

――長かったと感じる理由は?

 これだけ多く試合に出られたのが、海外に来てからはボーフムでの1年目とフランクフルトでの1年目くらいでした。ここまでコンスタントに試合に出られたことが久しぶりだったので、いろいろな疲労感とか、そういうのを含め、ちょっと長かったかなと。

――2シーズン目はどうでした?

 最初は苦労しました。開幕戦は出られましたが、思ったプレーができず、そこから評価も下がっていきました。試合に出られなかったり、ベンチ外もありました。でも、出られなくても、そんなに苦しい感じでもなく、楽しくやれていました。(ホセ・ルイス・メンディリバル)監督がいつかチャンスをくれるだろうという気持ちが自分の中にあったので、準備をして、しっかりチャンスさえつかめれば、どうにかなると思っていました。

――このまま試合に出られなかったら、という不安はなかったのでしょうか?

 もちろんありました。出られるという保証はなかったですし、チャンスをもらえる保証もなかった。このまま出られないのではと考えたこともありましたが、そうなった時はその時になってから考えればいいと思っていたので……。その時は移籍や日本に帰ろうとか、そういうことは全く思わなかったですね。

徐々に信頼を勝ち取り、4月に今季初ゴール

乾は4月のビジャレアル戦で今季初ゴールを決めた。試合後にはメンディリバル監督にねぎらわれる 【Getty Images】

――第29節のビジャレアル戦で初ゴール。チームメートの祝福がすごかったですね。

 本当にうれしかったですね。セルジ(・エンリク)とか、ダニ(・ガルシア)とか、スタッフもそうですし、監督もそうですけれど、点を取れなくても、試合に使ってもらったり、励ましてくれたり、いろいろと支えてくれました。そういう人たちが、点を取った時にあんなに喜んでくれたのは、本当に一生の思い出です。ここまで喜んでもらったことも、海外に来てから初めてだったのでうれしかったですね。

――初ゴールを決めた直後、スペイン国王の来日夕食会に出席するために帰国しました。

 自分はシーズン中なので「行かない」と監督に言ったのですが、チームのトップから「行ってくれ」と言われて行くことになりました。

――この時は6試合連続で出場、さらに5試合はスタメン。ゴールも取った直後でした。

 ゴールを取った時には、もう行くことが決まっていました。ただ、2試合抜けてしまうのは、自分の中でももったいないと思っていました。出られていない時ならまだしも、試合に出られていました。自分が不在の間に他の選手にチャンスが与えられるし、もちろん行きたくないのが本音でした。でも、チームも日本との関係性を大事にしていますから、そのあたりは、チームのために何かできたらいいかなと思ったので、最終的には行くことにしました。

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