――しかし帰国後もレギュラー、そして最終節のバルセロナ戦で２ゴールです。１点目を振り返ってください。

　もちろんクロスに対して合わせにはいったんですけれど、スネに当たってラッキーなゴールでした。でもあの得点で試合の流れは自分たちに傾いたかなと思います。やっぱりゴールを決めた瞬間はうれしかったですね。

――２点目もセルジ・エンリクの落としをダイレクトで素晴らしいコースに決めました。

　そうですね、コースはそこまで狙ってなかったのですが、思い切って打ってみようと思えたので、その思い切りの良さがゴールにつながったのかなと思います。

――カンプ・ノウで２得点を決めた気持ちはどうですか？

　１点目も２点目もびっくりしました。自分でもまさかという感じだったですし、あとになって、入ったんだなと実感が湧いてきましたね。

――得点を決めたことで、それ以外の場面でも自信を持ってプレーできたのでは？

　やっぱりボールを支配される時間が長い中で、ボールを持ったら何かしようと思っていました。本当にボールに触れる回数は少ししかなかったので、評価はしにくいんですけれど、ゴールをとれたのは良かったです。ただ勝つということを考えると、もっとそれ以上に自分としてもそうですし、チームとしてのパフォーマンスを上げていかないと、こういうレベルのチームには勝っていけないのかなと思いました。

――どういう点でレベルの違いを感じました？

　全部において差がありますよね。自分たちがボールを持てる時間も少ないですし、マイボールになってもすぐプレッシャーをかけられて慌ててミスしてしまう。そういう点では、バルサの選手は慌てないですし、相手から逃げないというか、本当にレベルの差を感じました。そういう点でもっと自分たちも臆せずプレーできるようになっていけば、あのレベルに近づけるんじゃないかなと思います。

――バルサ戦の２ゴールで大久保選手のリーガ記録を更新したことについては？

　嘉人さんは１年半で５点とっていて、自分は２年で６点なのでペース的には嘉人さんの方が明らかに早いですし、その記録を抜いたということはそこまで気にしていないです。でも自分はまだまだスペインでやりたいですし、そこで残っていくためには、ゴールという記録も伸ばしていかないといけないのかな、と思いますね。

――２年ぶりに日本代表にも選出されました。

　代表はエイバルでのサッカーとも違いますし、求められてくることも違ってくると思うので、まずはそのサッカーに慣れないといけないと思います。監督の要求をしっかり聞いて、その中で自分の良いところを出したいです。しっかり代表のために勝利を目指して、自分自身もラストチャンスとまでは言わないですけれど、そういった気持ちでしっかりやって、少ないチャンスかもしれないですけど、頑張りたいなと思います。

――日本代表への思いを聞かせてください。

　代表に入って、シンジ（香川真司）や岡ちゃん（岡崎慎司）とか、今回はメンバーから外れたけれどキヨ（清武弘嗣）やいろいろな人たちと楽しくサッカーをして、ワールドカップ（Ｗ杯）に行って、その中で勝って、といったイメージはあります。Ｗ杯にはもちろん出たいので、代表に定着するためには所属するクラブで結果を残し続けることだと思っています。本大会までの最後の半年が大事になってくると思うので、重要なのは来年です。

――３年目となる来シーズンはどういった１年にしたいですか？

　今年の開幕時は出られなかった時期が多かったので、そういう時期をなくすというのは自分の目標です。１年間通してしっかり出続けるというのは来年の目標にしたいですし、その中でしっかり結果を求めて、プラスチームのためにやれるように、また頑張っていきたいと思います。

――最後に、スペインで戦う日々はどうですか？

　毎日楽しいですよ。練習からすごくハードにやれていますし、強度の高い、質の高い練習ができています。１日１日が充実して楽しくできていますし、それプラス、試合にも出させてもらっているので、すごく……、本当にこっちに来てからは不満がないですね。

『ノンフィクションＷ　乾貴士　そのドリブルで未到の領域へ　〜スペインで戦う孤高のフットボーラー〜』
日本人は成功できない――とされてきた世界最高峰の舞台、リーガ・エスパニョーラ。その定説を覆している選手がいる。乾貴士。この小柄なドリブラーの挑戦を追う。

5/28（日）夜9：00［WOWOWプライム］
ナレーション：竹内結子

『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ２部』
柴崎岳選手がテネリフェに移籍し注目を集めるリーガ２部を放送！
上位２チームは来季１部へ自動昇格し、残り１枠は３位〜６位のプレーオフで争う。