ハリルホジッチ「私は競争を生んでいる」 シリア戦、イラク戦メンバー発表会見

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シリア戦、イラク戦のメンバーを発表したハリルホジッチ監督 【スポーツナビ】

 日本サッカー協会は25日、都内で会見を開き、7日に行われる国際親善試合のシリア戦と13日のワールドカップ(W杯)アジア最終予選・イラク戦に臨む日本代表のメンバー25名を発表した。

 ブルガリアのREC・ベロエ・スタラ・ザゴラでプレーするMF加藤恒平のほか、GK中村航輔(柏レイソル)、DF宇賀神友弥(浦和レッズ)、三浦弦太(ガンバ大阪)ら4名が初招集された。また、エイバルに所属するFW乾貴士は2015年3月以来、約2年ぶりの代表復帰を果たした。

 初選出となった加藤に対し、ハリルホジッチ監督は「ボールを奪うという役割で、しっかり組み立てもできる。このような若い選手をテストしてみたい」と期待を寄せた。

 日本は6月7日に東京スタジアムでシリア代表との国際親善試合を戦った後、アウェーでイラクとのW杯最終予選に臨む。

戦略に関して少しの変更を加えた

ハリルホジッチ監督は「戦略に関して少しの変更を加えた」と発言 【スポーツナビ】

登壇者:
ヴァイッド・ハリルホジッチ(サッカー日本代表 監督)


 コンニチハ。最終予選の終わりがだんだんと近づいてきた。これから毎回の合宿が決定的なものになると思う。そして、今回の合宿に関しては、シーズンの違う選手が多々いる。まだ全員がシーズンが終わったわけではない。国内組はまだ戦い続けているし、そういったことも考えると、今回の合宿もまた違うやり方になるだろう。しっかりとトレーニングを調節しながらやっていくことになりそうだ。

 2試合あるが、最初はフレンドリーマッチとなる。それからイランに行って、イラクと対戦する。そして最初の試合はFC東京のスタジアム(東京スタジアム)で行う。あらためてここで、この試合をオーガナイズしてくださったキリンさんに感謝を申し上げたい。そしてなぜ、シリアとここでやるかということだが、シリアの前にはいろいろな国からもオファーがあり考えたのだが、なかなか同意に至らず、最終的にシリアになった。それから(イラク戦が行われる)テヘランにできるだけ近づいて合宿をしようということも考えたが、相手国からもいろいろなことを拒否されて、ということもあった。

 われわれは日本にいるわけだが、まずは海外組がバカンスで日本に帰ってくるということで、土曜、日曜とかけて海外組から合宿をスタートする。そしてJリーグの日程が日曜日(6月4日)に試合があるため、われわれは水曜日(7日)に試合をして、アウェーに行って、移動して試合をすることになる。

 シリアを選んだことだが、この相手はイラクに似ているチームだ。さらにグループAでプレーオフに回る可能性がまだある。フィジカル(の強さ)とアグレッシブさを備えた相手だ。そして、守備のデュエル(球際の競り合い)がものすごく強く、最終予選では3失点しかしていない。われわれにとって、かなりいいテストになるのではないかと思う。

 それからこの試合の後、決定的な試合が待っている。イラク戦だ。そしていろいろな変更を加えながら準備を進めていきたい。まずは小さなスタジアムでやらざるを得ない。スタジアムの変更を要求したのだが不可能だった。そして、いろいろな試合が行われていたためスタジアム、グラウンドの様子もしっかり見たが、よい状態ではなかった。

 2カ月前、(日本代表マネジャーの)ツムさん(津村尚樹)がまずは現地に赴いて、いろいろなことを改善するようトライして、10日ほど前には湯川(和之)さんにイランに行ってもらい、(会場の)グラウンドの責任者と話をして改善するように伝えた。そして毎週毎週、現地からグラウンドの状態、工事の状態がどうかということがわれわれの耳に入ってきている状況だ。われわれの選手はよりよいグラウンドでプレーしたいと思っている。いつもいいグラウンドでプレーしているからだ。もしかしたら、イラクに対していいフットボールをするためのグラウンドではないかもしれない。そういったことも含めて、すべてのディテールを見て、この試合をよりよいものにするためのトライをしている。勝つためにだ。

 イラクに勝てば、本当に大きな一歩、最終予選突破に向けて大きな一歩が踏み出せるのではないかと思う。私もすでに戦略を練っている。まずはシリアとやるわけだが、おそらくイラクと同様、フィジカルに、アグレッシブにくる相手だと思う。(親善試合の相手に)シリアを選んだというのはいいチョイスをしたと思っている。

 この合宿では戦略に関して少しの変更を加えている。それは、何人かの選手のパフォーマンスに私が満足していないということも含めている。変更する選手、新しい選手も加わってくる。それから、けがを抱えた選手がどのような状態でここに来られるかということも様子を見ながらのチョイスとなる。2、3回ほど、合宿で1人、2人けがを抱えたまま進んだということもあったので、今回はそれも含めて25人の選手を選びたいと思っている。もちろんバックアップメンバーの選手も何人かいて、けがの時には彼らが代わりになる。

 土曜日から合宿をスタートする。まずはスタッフが集合する。日曜日には7人選手が集まる。試合がまだある選手はその後に合流する。来週の最後くらいには海外組が全員そろう。国内の選手に関しては6月4日に試合をした後、Jリーグが終わった後にすぐ来る選手もいる。

<メンバー25名>

GK:
川島永嗣(メス/フランス)
東口順昭(ガンバ大阪)
中村航輔(柏レイソル)

DF:
長友佑都(インテル/イタリア)
槙野智章(浦和レッズ)
宇賀神友弥(浦和レッズ)
吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
酒井宏樹(マルセイユ/フランス)
酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)
昌子源(鹿島アントラーズ)
三浦弦太(ガンバ大阪)

MF:
今野泰幸(ガンバ大阪)
倉田秋(ガンバ大阪)
香川真司(ドルトムント/ドイツ)
加藤恒平(PFCベロエ・スタラ・ザゴラ/ブルガリア)
山口蛍(セレッソ大阪)
遠藤航(浦和レッズ)
井手口陽介(ガンバ大阪)

FW:
岡崎慎司(レスター/イングランド)
本田圭佑(ミラン/イタリア)
乾貴士(エイバル/スペイン)
大迫勇也(ケルン/ドイツ)
原口元気(ヘルタ/ドイツ)
久保裕也(ゲント/ベルギー)
浅野拓磨(シュツットガルト/ドイツ)

エイジのパフォーマンス、態度、行動は素晴らしい

 この合宿には3人のGKを呼ぶ。エイジ(川島)とヒガ(東口)はこのところ安定したパフォーマンスを見せている。長い間ニシ(西川周作)、林(彰洋)も追跡してきたが、現在、彼らのパフォーマンスには満足していない。5番目くらいの選手だったが、ここに入れている選手がいる。若い選手(中村)を合宿に呼ぶ。ここ最近、素晴らしいクオリティーを見せてくれている。柏(レイソル)は2位につけているが、彼のプレーによるところも大きいのではないか。

 GKに関してもフィールドプレーヤーに関しても、パフォーマンスがよければ、ここに入るということだ。私の場合、リストに必ず変更はある。全員にプレッシャーをかけながらやっていく。2カ月前に良かった選手が今もいいわけではないからだ。シリア戦、イラク戦に関しては、最も良いパフォーマンスの選手が必要だ。われわれの基準、厳しさが本当に合っているのか、これから様子を見ていかなければならない。彼ら次第だ。

 もう一度、強調しておかなければならないのはエイジのパフォーマンス、態度、行動の素晴らしさだ。メスとサインした時は第3GKという形だった。ただトレーニングを続けて、毎回われわれが呼んだ時には本当に素晴らしい野心、気持ちをもって来てくれる。経験がある選手で、クラブでは不遇の状態だったが、彼の日常のトレーニング、合宿でのトレーニング、コーチたちとのディスカッションを通して、簡単な決断ではなく、リスクのある決断でもあったが、彼が最後の最後に席を勝ち取って、(3月のUAE戦、タイ戦では)A代表でものすごくいいパフォーマンスを発揮してくれた。

 そしてメスでも活躍を続けて、(リーグ戦の)ある節ではMVPに選ばれた。これは本当に、一番いいメッセージになるのではないか。こんなに経験のある選手がトレーニングをしながらパフォーマンスを維持している。若い選手もここ最近、頑張っている。いろいろな人たちに、このスピーチを聞いてほしい。

 それから守備。今までいた選手だ。酒井ヒロキ、ゴウトク、長友。ヒロキはマルセイユで完全なスタメンだ。ゴウトクもよいシーズンとなったし、チームを救った。ユウトはここ最近、いいプレーをしている。ユウトが自分のパフォーマンスを取り戻したのはうれしい。

 それから、長い間ずっと追跡していた選手(宇賀神)だ。彼の監督(ミハイロ・ペトロヴィッチ)とも話をした。4バックの左として考えている。右もできると思う、右利きだが、3バックの際は右センターバックもやっていた。過去にも、このポジションはいろいろな選手を呼んでトライしたが、今度は彼の番だ。29歳、すごく若いというわけでもない、経験がある。この合宿でどのような活躍を見せるか、様子を見てみたい。

 ここにも少し新しい選手がいる。マヤはA代表でも大事な選手、クラブでも大事な選手になった。昌子も自分のクラブでしっかり伸びてきている。フィジカルも経験も伸びている。マキ(槙野)もシーズンの最初の方はちょっと難しい状態が続いたが、パフォーマンス、特にフィジカルが戻ってきた。マキはもっとできると信じている。そして三浦という選手を入れた。ここ2、3カ月、特に注意して見ていた。森重(真人)もずっとA代表で先発を張っていた、丸山(祐市)もいたが、ちょっと私は満足できなかった。ここ2カ月、この若い選手が特にフィジカル面でいいプレーを見せている。デュエルの空中戦、地上戦も強いし、後ろからの組み立てもかしこさを見せる。この若い選手を信頼したい。少し植田(直通)を抜いているかなと思う。植田はけがもある。彼がこの合宿中、どのような活躍をするか見てみたいと思う。

加藤はほぼ1年かけて追跡している

ブルガリアでプレーする加藤に関しては「ほぼ1年かけて追跡している」という 【スポーツナビ】

 中盤。皆さんがあまり知らない選手も入っている。遠藤は後ろの真ん中気味でプレーしている。現在、デュエルで最も勝っているプレーヤーかもしれない。イラクのようなFWのパワーが強い選手にはいいかもしれない。個人的に浦和でも、かなりいいパフォーマンスを見せているのが遠藤だと思う。

 今野はまだ確信を持てない。(負傷して)もう2カ月も経っているが。向こう(G大阪)のクラブの方とメディカルの方と、テクニカルスタッフと密に関係を持ち、けがを治療しながらトレーニングを進めてもらっている。本当に注意して見ている。フィジカル的にも、ボールを使ってグループに合流していると聞いている。われわれのスタッフもクラブに送って、もしかしたら5月28日あたりにフレンドリーマッチがあるかもしれないということで、45分か60分くらいは出てほしいと思っている。それができればいいと思う。そこがよければしっかり(代表に)合流してもらって、シリア戦にどうにかなるかというような状態だと思う。

 イラク戦に向けてしっかり準備ができているか、今私が言うことはできない。ただイラク戦に間に合ってほしいと思う。なぜなら彼のような選手が必要だからだ。中盤での存在感、守備面、攻撃面、ヘディングも強い選手。それから相手もかなりアグレッシブに来ると思う。今野のような選手はたくさんはいない。われわれとクラブと連携を取って、しっかり彼を向上させるよう務めている。

 それから皆さんあまり知らないであろう加藤という選手を呼ぶ。ほぼ1年かけて追跡している。ブルガリアのベロエというところでやった試合を4試合ほど現地で見ている。ビデオでも何試合か見ている。もう一度言うが、4回ほど現地に行って、ダイレクトに見ている。彼はボールを奪う人という役割だ。しっかり組み立てもできる。このような若い選手をテストしてみたい。これまでもかなりテストしているが見てみたい。すぐにプレーさせるわけではないが、お互いを理解する時間は必要だ。今野がどうなるかまだ分からないので、もしかしたらこのような選手が必要になってくるかもしれない。奪うところでアグレッシブさをもって戦える人間。彼は27歳で経験もある。様子を見てみよう。

 それからシンジ(香川)、まだカップ戦のファイナル(27日)が待っている。それが終わったら帰ってくる。それから倉田。戦術的に可能性のある選手だと感じている。少し変更を加えて、彼の良さ、リズムの変化、方向の変化などを加えてもらえれば。そういうものがうまくいくと思う。守備的にもボールをしっかり奪うことをやってもらいたい。ただ、時々ファウルをしすぎるので、そこを改善してもらいたい。彼は清武(弘嗣)との競争だ。ただ、この試合では彼を選ぶ。倉田や香川といった選手が必要となってくると思う。それから、井手口という若い選手も入れた。彼はいろいろなポジションができる。これはすべて今野の状態次第ということもある。でも井手口も常に向上を続けていて、ものすごくのびしろを感じる。数カ月前にわれわれとトレーニングをしているので、また帰ってくるということ。しっかり競争をして、周りにプレッシャーをかけてほしい。

乾は素晴らしいパフォーマンスを見せている

 攻撃陣のサイド。久保は本当に継続して点を取っている。ケイスケが戻ってきてくれたこともうれしい。(21日のボローニャ戦で)点を取った。素晴らしい入りをしたと思う。いつもケイスケを信頼して、間違ってなかったなと思わせてくれた。確かにクラブでは多くはプレーしていない。ただトレーニングは厳しくやっている。ミランは競争が厳しいからだ。つい最近の試合は本当に素晴らしかった。FKで点も取った。彼がこのようなプレーをして、気を緩めていないのはうれしい。ただ、A代表で席を取るためには戦わなければいけないことは分かっていると思う。これは全員へのメッセージだ。1番大事なのはA代表、チームだ。

 少し難しいシーズンを送ったのはゲンキだ。いろいろなチョイス、いろいろな戦術、チームの事情もあったのか、彼と少し厳しめなディスカッションもした。ここ2試合は素晴らしかったと思う。ゲンキがA代表でしっかり見せてくれたことを、もう一度やってくれることを期待している。

 それから乾。宇佐美(貴史)との競争だったが、ここ最近素晴らしいパフォーマンスを見せてくれているのでロジカルだと思う。バルセロナ戦の得点も素晴らしかった。ただ少しよくない時期もあった。検査をしなければいけないので、合宿に間に合うかどうかは状況を見なければならない。A代表に戻ってきて本当にうれしいが、クラブとA代表の役割は違うので、しっかり説明しないといけない。点を取ってくれているのもうれしい情報だ。具体的に言うと、乾の足首がちょっとまだ分からないということ。うまくいくことを期待しているが、準備ができていなければバックアップメンバーを使う。

 真ん中の3人。大迫は少しけががあった。ちょっと早く復帰しすぎたかなと思う。病気もあった。病気のおかげで少しけがの回復が早くなった。(20日のマインツ戦では)いい試合をして素晴らしいゴールも決めた。大迫がここにいることがわれわれにとって大事なことだ。オカ(岡崎)は常にハーフ(45分)は出ている。A代表ではもっと点を取ってほしいと思う。パフォーマンスは常にいい。

 それから浅野。ここ最近はあまり出ていない。以前はいいプレーをしていたが、何かあったかなと。浅野と武藤(嘉紀)も考えたが、私の戦略ではこのような選手が必要だ。ディテールには入らないが、イラク戦で最後の15分、相手の背後をとって相手をきつくするという選手がいる。そういう選手が必要だが、あまりいない。浅野とか武藤はまれにそういうのを突ける選手だ。

 また、何人か国内リーグでもいいプレーを見せている。興梠(慎三)、金崎(夢生)、杉本(健勇)。杉本のことは昨年も話したが、今も伸びている。興梠、金崎、小林(悠)に関しても、定期的にいいパフォーマンスが出せればこの競争に入ってくる。われわれは各自を見ている。毎回の合宿でよりパフォーマンスのいい選手が入ってくる。ここにいないからといって、次も入らないわけではない。この合宿で、新しい若い選手もいる。私のチョイスがよいメッセージになることを期待している。国内にも海外にもだ。よい選手、資格のある選手がいれば誰だって呼べるということだ。

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