もしもマシン選手が半生を語ったら…… 東京03豊本のプロレスあれこれ(13)
実は、マスクを脱いだこともあるんですよ
その時の話なんですけど、悲しい話があるんですよ。
試合中に私、自分でマスクを脱いだんですね。マスクマンが自分でマスクを脱ぐって相当の、覚悟なんですよ。プロレスでは、マスクを賭けて試合をすることもあるわけですから、マスクマンにとってはとにかく大切なもの。それを脱いだんです。その日は、テレビの中継もありました。これはインパクトのあるシーンになるはずでした。
しかし、マスクを脱いだ瞬間、丁度、CM中だったっていうね。大事な所が放送されてないっていうね。
悲しかったですよー。
今の若い子にはスーパー・ササダンゴ・マシンの元ネタってことも知られてないぐらい悲しいですよ。
その後は何もなかったかのようにマスク被って普通に試合しましたよ。
不本意な迷言「しょっぱい試合ですいません」
蝶野さん(右から2番目)とはたびたびチームを組ませていただきました 【スポーツナビ】
でもやっぱりヒールの方が良いと思って、“ブロンド・アウトローズ”というユニットに参加。ただよく考えたらこのユニット、メンバー全員、金髪のブロンドヘアー。
ブロンド・アウトローズなのに私だけ金髪ではなくマスクというね。
その後は“レイジング・スタッフ”という名前にユニット名が変わりまして、金髪問題は解消されたんですけど、東京ドームなどのビックマッチになるとカードに入れてもらえないという、若干リアルスタッフになりつつあるというね。
でもね、確かにこの頃は特に迷ってました。レスラーとして、このままでいいのかってね。
だからこそ、あえて、カリスマ性のある蝶野正洋さんと組んで、タッグリーグに出たりしてね。
そのリーグ戦、いいとこまで行ったんですよ? でもちょっとのすれ違いなんですかねぇ、大事な決勝戦で蝶野さんと喧嘩別れしちゃったりして。で、しかも自分でマスクを脱いじゃって。良い試合して優勝したかったんですけど、うまくいかなくて、ついついマイクでこう言っちゃいました。
「しょっぱい試合ですいません」
会場のお客さんは笑ってましたねぇ。もちろん、笑わせるつもりはなかったんですけど、よくよく考えたら、マイクアピールで反省って、こんなこと言うレスラーいませんよね。
おかげで、今でも面白いマイクアピールランキングの上位に入ってると思います。
しかもそういう時に限ってテレビ中継でバッチリ流れてるという……。
ま、それからまた蝶野さんには“T2000”というユニットにいれてもらったり、橋本真也さんと一緒にやらせてもらったり、“魔界倶楽部”というユニットに参加したり、いろいろな経験を積ませてもらって、今は道場で若手の練習見たりしてるんですけどね。
あ、私、最近試合してないですけど、引退した訳じゃ無いですからね?
なんで試合しないかって?
それはですね……
ギギ…ガガガ…ですから。
あ、ごめんなさいね、大事な所をマシン語で話しちゃいました。
“殺戮マシーン”の試合が見たいです
でも歴史は伝わったと思います。
魅力的なマシン選手。久しぶりに愛すべき“殺戮マシーン”の試合が見たいです。