錦織圭、成長とともに訪れた意識の変化 「自分のため」から「日本のため」へ
西岡、ダニエルら“チーム日本”全体で成長を
初めてトップ10入りしてから3年。自身の立場の変化を少しずつ感じ始めている 【坂本清】
その中には、同じIMGアカデミー出身の西岡良仁や、リオ五輪でともに戦ったダニエル太郎ら、日本の若手選手もいる。下からの突き上げを感じながらも、ふるさとから遠く離れ躍動する同士には、少し違った思いがある。
「今はけがこそしましたけど西岡選手や、ダニエル選手らも上がってきているので、そういうのは見ていてうれしいです。なるべくみんなで盛り上げながら、みんなでランクが上がってくれたらうれしいですね」
「自分のため」にプレーしていたテニスが、成長とともに次第に周りの人のためにもなり、“チーム日本”全体の成長を願うようになった。柔らかな語り口調とは裏腹に、今の錦織には、日本のエースとしての気概が一段と感じられる。こうした意識の変化は、日本人プレーヤーの可能性を切り開いてきた先駆者が、次なる高みへと進もうとしていることの表れではないだろうか。
子どもたちには「諦めない心を」
27歳になった錦織。未来の日本テニス界を担う子どもたちにどんな思いを抱いているのか 【坂本清】
「海外に来るのはすごく賛成です。特にヨーロッパはテニスが盛んだし、強い選手もそこら中にいるので、そういう点では切磋琢磨(せっさたくま)できる。余裕があれば海外に来るのが一番だと思います」
そう口にした後、一瞬の間を空けてこう付け加えた。
「でも、日本でできないこともない。良いコーチと諦めない心があれば大丈夫だと思います」
盛田ファンドから全面的な支援を受け、この上ない練習環境を与えられた自分がいかに恵まれていたか、錦織はよく分かっているのだろう。そして、そんな環境を手にすることのできる人はごくわずかしかいないことも、十分承知している。だからこそ、まずは自分のいる場所でベストを尽くしてほしい――。錦織のメッセージが、将来の日本テニス界を背負うであろう子どもたちへの温かなエールとなることを願っている。(文中敬称略)
(取材・文:小野寺彩乃/スポーツナビ)
◆◆◆ スポナビライブ番組情報(PR) ◆◆◆
◆THE PLAYER 〜 錦織圭オリジナルインタビュー 〜◆
5月20日(土)〜6月24日(土)毎週土曜日AM10時配信