ハイレベル女馬と未来の短距離王が激突! 大混戦NHKマイルCの競馬記者座談会

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 今週からは東京でのGI5連戦となるが、そのスタートとなるのは、3歳マイル王決定戦、NHKマイルカップ。世代のマイル路線を歩んできた馬に加え、クラシック戦線からの転戦組も揃って注目度が高まる一戦を、優馬TM(トラックマン)陣が徹底討論。

今年もまた牝馬の出番 アエロリット&カラクレナイ

レベルが高いと噂される3歳牝馬の1頭カラクレナイ(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「早い時期からこの世代は牝馬のレベルが高いと言われてきたけど、ここもそれを象徴するかのような牝馬人気だな。皐月賞の結果をふまえれば、ちょっと過剰なんじゃないか?」

須藤「皐月賞こそファンディーナが人気を裏切りましたが、それでも今年の牝馬のレベルの高さに疑いの余地はありませんよ。当然、桜花賞で4・5着と好走した2頭で勝負になると思いますが、着差を考えても実力は互角と言っていいので、コースを経験済みのアエロリットが一歩リードと考えています」

デスク「本紙武井もそういうことか?」

武井アエロリットは、まだ1勝馬の身ですが、やはり同じ舞台でのクイーンCの内容を信頼したいですね。古馬の重賞を上回る開催ナンバーワンの時計での決着ですし、出遅れを外から積極的に動いてコンマ1秒差2着なら、ここでは胸を張れる実績です。桜花賞こそ折り合い重視で後方からになりましたが、東京での2戦は4角好位で上手に立ち回れていることも強調材料になりますね」

桜井「牡馬はクラシック戦線と同様に一連のマイル路線でも傑出馬が不在ですからね。僕もハイレベルだった桜花賞の好走馬は甲乙つけ難いと思っていますが、アエロリットがクイーンCで見せた切れ味は、牡馬相手でも全く見劣りはしないレベルでしょう」

デスク「桜花賞は後方で構え過ぎた感も受けたけど、今度は陣営も勝ちを意識しているんだろ?」

小桧山「乗り方については鞍上に一任している菊沢師だけど“リズム重視で運んだんだろうね。思ったほど気負っていなかったし、関西への輸送を考えればよく走っているよ”と、前走を振り返ってたな。“放牧先でも緩めていなかったので万全の仕上げと言っていいし、左回りもいいから、今の時期のマイル戦なら牡馬とも差はない”とも。横山典騎手は“普通に力を出し切ればかなり強いよ。まだ隠しているモノ、それが何だかわからないけど、たぶん持っている”と、独特の言い回しで自信を見せていたんだけど、馬を見て“少し細く見える。削ぎ落とされた体かもしれないけど…”と漏らしてもいたんだ」

デスク「で、コビちゃんは◎にカラクレナイの方を選んだわけだな」

小桧山「桜花賞が初距離となるのはかなりのハンデだと思うけど、それを考えてもよく追い上げていたよな。長く脚を使うタイプだから、東京で更に、の期待をかけていいし、大一番に強い鞍上も魅力だぞ」

西田「私も2頭の牝馬を中心に考えましたが、東京コースが初めてでも、カラクレナイは長い直線を味方にパフォーマンスを上げてくるはずです。上がり勝負の競馬になれば、アエロリットとの差も開くのではないかと思いますね」

大江原「何より2度目のマイル戦で、スタミナ配分などの面で大きな上積みが見込めるよな」

加茂「桜花賞のカラクレナイは、田辺騎手も上手やったと思いますが、テン乗りのぶんもあったんやないかと。癖を知る鞍上に戻って、東京コースなら、GIに手が届くだけの馬ですわ」

デスク「ただ、桜花賞とは違って、今度はカラクレナイの方が初の長距離輸送になるわけだよな」

細川「そのへんは“オンとオフがしっかりしている馬だから、長距離輸送でも大丈夫”と、陣営もさほど心配はしてなかったですね」

デスク「同じ牝馬でも、直ちゃんはミスエルテ◎ときたか。これも朝日杯では牡馬相手に1番人気に推されていたわけだが、その朝日杯はともかくとして桜花賞が負け過ぎだよな」

佐藤直ミスエルテは、陣営も公言しているように、軽い芝でこそのタイプで、実際にパンパンの良馬場で走ったのはファンタジーSだけなんだ。桜花賞は、不向きな馬場状態に加えて、朝日杯からのブッツケだったわけだから、着順イコール能力ではないよな。阪神ジュべナイルFの上位3頭が桜花賞では着順が入れ替わっただけ、という結果も、暮れの時点での勢力図がそのままであることを示唆しているわけだし、だったら暮れの時点での評価を見直す手じゃないか」

那谷「陣営も意図的にぶっつけ本番で臨んだ桜花賞は、テンションや折り合い面で成果はあったとはいえ、肝心の動きが一息だったよな。今回も放牧を挟んでの出走となるけど、2連勝した頃の弾け方にかなり近づいているし、とにかく落ち着きがあるんだ。川田騎手も“以前とは別馬です。格段にいい精神状態で臨めますよ”と手応えを感じている様子だったよ」

デスク「これまた鍵は長距離輸送だな。成長したとは言っても気性面で危うさのある馬だけに余計心配だが…」

那谷「池江寿師は、長距離輸送について“輸送の後、一泊することでリラックスして好走”と“イレ込んでカイバをほとんど食べないまま出走して凡走”と、2つのパターンを挙げていたんだけど、ミスエルテに関してはおそらく前者のパターンになるんじゃないかとも。直さんも言っていたように、桜花賞の結果は不問にして狙ってみたいな」

守屋「僕はミスエルテを“抜け”にしたんですが、一戦ごとの馬体減が気になりますね。やはり馬が小さく見えていっていますし、これまでのようにレース前にエネルギーを消耗している状態なら、GIで勝ち負けできるほど甘くはないと思います。牝馬は何度か大敗を続けると持ち直すのが難しくなってきますよね。本当に状態が落ち込む前に、完全にリセットしたほうがいいのではないかと…」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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