阪神の若手遊撃手・植田が進むべき道 北條と鳥谷に勝つには「“足”しかない」
首脳陣も認める走塁と守備で1軍定着を図る植田 【写真:BBM】
掛布2軍監督の勧めで両打ち習得
シーズンも残り2試合となった昨年9月30日、植田は甲子園にいた。プロ2年目で初めて呼ばれた1軍。もちろん雰囲気を味わうという意味合いもあったが、就任以来、植田の足に注目している金本知憲監督は1軍でどれくらい通用するか試そうとしていた。
そして、翌10月1日の巨人戦(甲子園)の6回、俊介の代走として一塁ベースに立った。これが記念すべき初出場となった。
「あのときはアウトにはなりましたが、2軍のときと同じように盗塁のスタートを切ることができました」
この足を生かすため、1年前のキャンプで掛布雅之2軍監督から両打ちになることを打診される。もともと右打ちだった植田は必死に左打ちを習得し、その打診に応える。「今は左も右と同じような感じで打てるようになりました」と体に染みついてきたようだ。
もともと守備には定評がある。打球への反応と動き出しは非常に素早いものがあり、「名手・久慈照嘉守備走塁コーチの現役時代を彷彿(ほうふつ)させる」とコーチ陣も話す。
足を生かすためにすべきこと
昨秋のU−23ワールドカップでは盗塁王に輝き、日本の初代王者に貢献 【Getty Images】
「僕がお二人に勝つとしたら“足”しかありません。その足を生かすためには、打撃面で出塁率を上げることです。左打席では、意識的にショートライナーを打つイメージで、強い内野ゴロを打ちにいっています。そして守備と足では絶対ミスをしないことが条件だと思います」
昨年まで2軍で2割前後だった打率が、現在は3割近くまで上がってきた。四球はチーム最多の8を記録し、出塁率も4割1分1厘と高い数字を残している。(4月4日現在)
「1軍に呼ばれて思ったのは、やはりここで試合に出ないと意味がないということでした。今年は結果を残し、自分の力で1軍に上がり、どのポジションでもいいので試合に出たいです」とはっきり言える植田が今そこにいる。
飛ぶ鳥を落とす勢いの北條の牙城をも脅かす日も、そう遠くはなさそうだ。
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