イチロー、ケガの回復具合は……接触でのスロー調整は結果オーライ!?

丹羽政善

オープン戦は40打席前後が目安

接触3日後には室内ゲージでの打撃練習を始めたものの、腰の回復具合については「分からない」と話していた 【写真は共同】

 3月5日というオープン戦初出場が決して遅いわけでもない。今年は2月25日からオープン戦が始まっているのでそう感じるかもしれないが、昨年のオープン戦初出場は3月4日だ。仮にケガがなくても、チームはイチローのオープン戦起用を3月までずらしたのではないか。これまでのキャンプでも、長距離の遠征を免除するなど配慮して来た。

 イチローも米メディアに対して、「43歳ですから、最初のゲームはこれまでより少し遅くてもいいと思います」と冗談を飛ばしたそう。マイアミ・ヘラルド紙のクラーク・スペンサー記者も、「長いシーズンを考えたら、プラスに働くかもしれない」と話している。

 それでも仮に、打席数が足りず、調整が遅れるとしたら心配だが、19日現在オープン戦の打席数は26打席。2015年が42打席、昨年が38打席で、今後に関しては、WBCが終ってクリスチャン・イエリチとジャンカルロ・スタントンが戻って来たときにどんな出場ペースになるかだが、20日以降、まだオープン戦は13試合残っているので、最終的には例年と変わらない打席数になるのではないか。

 もちろん、40打席立てば、あるいは、50打席立てば開幕前の準備としては大丈夫か、といえばそうでもなく、昨年もキャンプの終わりに、「(開幕に向けての準備は)できたとも、できてないとも言えないです」とイチローは話している。その数字はあくまでも目安程度、ということだろう。

昨季は開幕直前のOP戦で手応え

例年と変わらず、スプリングトレーニングでは日替わりTシャツで球場入りするイチロー 【写真は共同】

 ちなみに去年、イチローがシーズンに向けてそれなりの手応えを掴んだのは開幕直前だったという。ジュピターでキャンプを打ち上げてからマーリンズは本拠地マーリンズ・パークにヤンキースを迎えてオープン戦を行い、イチローは2試合で合わせて3打数無安打だったが、そこで何かを掴んだ。

 「キャンプ終ってからの、マイアミに戻ってヤンキースと試合しました。あそこはポイントだった」

 明かしたのは、日米通算ながらピート・ローズの大リーグ通算安打を更新した日の会見。それが具体的にどういうものかに関して、「その先はご容赦願います。願いたいと思います、かな」と煙に巻いたが、よほど確信があったようだ。

 今年は、その昨年の感覚を持続しているのか、あるいは、新たな何かを掴むかだが、まずは、腰に残るわずかな違和感を払拭することが先なのかもしれない。

4月に異例のボブルヘッドデー

現地時間4月19日には、古巣とはいえ異例とも言える他球団のマリナーズがイチローのボブルヘッドデーを行う 【写真提供:シアトル・マリナーズ】

 さて、冒頭のやり取りを交わしたあとも、しばらくマリナーズの広報と雑談していると、「今年、(マリナーズの本拠地)セーフコ・フィールドでマーリンズとの試合があるが、そのときにイチローのボブルヘッドデーがあるのは知っているか?」と聞かれた。すでに報じられていたので承知していたが、考えてみれば、かつて所属していたとはいえ、他球団の選手のボブルヘッドを配るのは異例である。

 配られるのはシリーズ最終戦の4月19日。平日のデーゲームなので学校がある子供たちには無情で、せめて1日前ならというところだが、案外、多くの子供たちで球場は溢れかえるのかもしれない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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