鍵を握る古賀と石井のサーブレシーブ率 データで見るVファイナル展望<女子>

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長岡不在でもチームの効果率が下がらない?

【画像:スポーツナビ、ロゴ提供:Vリーグ】

 では、長岡不在の影響はどこに表れるのだろうか。ひとつは久光のフォーメーションだ。ファイナル3の戦いを見ると、酒井新悟監督は長岡に代わって野本を使ったが、長岡のポジションでそのまま起用したわけではない。新鍋をオポジット(セッター古藤千鶴の対角)へとスライドさせ、野本は新鍋のポジション(石井の対角)に入った。ただし、野本はサーブレシーブには入らず、新鍋がそのままレシーブに入る形を取ったのだ。

 布陣変更の影響は数字にも表れている。レセプションでAパス、またはBパスがセッターに返ったあと、セッターがどこにトスを配分しているのか傾向を分析した。長岡出場時には31%のトスが集まっていたが、野本には26.8%しか上げていない。オポジットに入ることでライトからの攻撃が増えた新鍋もやや頻度が減っており、その分のトスは石井とミドルブロッカーの岩坂名奈に上げられている。

 こうした分配比率の調整と、サーブレシーブという仕事を担わずに攻撃に専念することで野本の効果率が向上(26%→41%)したことにより、久光はチーム全体の効果率を維持している。ファイナルでもファイナル3同様、長岡不在を感じさせない攻撃を見せてくれるのではないか。

ファイナル6の直接対決ではニコロバが躍動

久光と対戦する際、NECのレセプションは古賀に集中する 【写真:アフロスポーツ】

 すでに今季4度行われた直接対決にも注目したい。両チームの対戦成績は2勝2敗だが、一貫して両チームともサーブの狙いがはっきりしている。それぞれのサーブがNECは古賀、久光は石井に集中する傾向があり、チームの半分以上を彼女たちが受けることになる。NECが3−0で勝利したファイナル6では、NECが受けたサーブの54%が古賀に集まり、石井は久光の65%を受けていた。

 2試合の短期決戦で行われるファイナルでも両チームは同じ戦法で攻めるのかは見どころのひとつであり、傾向が変わらないのであれば、サーブで狙われ続ける影響が、彼女たち自身の攻撃にどこまで影響を及ぼすかには注目すべきだろう。これまでの戦いでは、2人に掛かる守備の負担が大きいため、結果的に攻撃でも2人のミスが多くなる傾向が強い。古賀と石井の調子は、チームの勝敗を左右する大きな鍵となるかもしれない。また、ファイナル6の直接対決ではNECのニコロバが33得点と躍動し、NECをストレート勝ちに導いた。久光がこの助っ人外国人にどう対応するのかもポイントだ。

久光側では、石井(右)が狙われる傾向が強い 【坂本清】

 久光は長岡の離脱で暗雲が立ち込めたかに見えたが、新たな布陣で臨んだファイナル3で連勝を飾り、不安を払拭して勢いに乗っている。対するNECは約2週間ぶりの試合となり、1週間のブランクがどう影響するか。今季の集大成となる試合をさまざまな視点で楽しんでもらいたい。

※本スタッツデータは独自に集計したもので、Vリーグ公式とは異なる場合があります。

(グラフィックデザイン:藤井由佳、文:豊田真大/スポーツナビ、協力:日本スポーツアナリスト協会)

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