U-20代表の合宿で感じた「価値ある競争」 森島、久保ら常連選手以外が猛アピール

川端暁彦

1泊2日のミニ合宿を実施

本大会開幕までに候補メンバーが集まることができるのは今回を含めてわずか3回。貴重な時間を費やす合宿となった 【川端暁彦】

 5月の世界大会に向け、東京五輪世代の最上級世代であるU−20日本代表が東京都内で1泊2日のミニ合宿を実施した。2017年に入ってからは最初の活動となるのだが、「とにかく時間がない」と内山篤監督が端的に指摘したとおり、本大会開幕までに集まれるのは今回を含めてわずか3回。残り少ない貴重な時間を費やす合宿となる。

 今回の合宿は3月10日の金曜日にJリーグの試合が組まれている影響もあり、柏レイソルDF中山雄太らが事前に辞退し、ベストメンバーの招集はできなかった。その分、招集歴の浅い選手たちにチャンスが出た面もあり、MF針谷岳晃(ジュビロ磐田)、DF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)といった今季Jリーグ入りしてプレシーズンマッチやリーグ戦で活躍した高卒ルーキーが抜てきされたほか、MF森島司(サンフレッチェ広島)、FW邦本宜裕(アビスパ福岡)のような高卒2年目で所属チームの中で存在感を増しているような選手も久々の招集となった。彼らにとっては世界大会に向けた大きなチャンスだった。

 とはいえ、1泊2日のミニ合宿でやれることはおのずと限られる。1つ、大きな目的だったのは7日の集合早々に行われたフィジカルテスト。国立スポーツ科学センターの最新機器を使い、スピードや跳躍力、持久力など各自のアスリートとしてのパフォーマンスをチェック。これらは選考の参考にする部分もあると思われるが、何より各選手に「どこを強化すべきか」を把握させることに意味があったようだ。

内山監督「ここから競争が始まる」

FC東京との練習試合では昨季Jリーグ得点王のFWピーター・ウタカが先発に名を連ねた 【川端暁彦】

 午後は同センターに隣接する国立西が丘サッカー場にて通常のトレーニングを実施。短い合宿ということを意識したのか、ビルドアップからフィニッシュをこなすレギュラーメニューに加えて、参加22選手を2チームに分けた11対11の紅白戦形式の中で、戦術面の確認を行った。「ずっと呼ばれている選手同士ができるのは分かっている」(内山監督)ことから、あえてこれまで組んだことがなかったり、あまり一緒にやっていないメンバー同士が横にいるような形で2つのチームを編成。「ここから競争が始まる」という指揮官の言葉どおり、2グループを競い合わせるような形でのサバイバル合宿となった。

 この紅白戦は邦本とFW岩崎悠人(京都サンガF.C.)が2トップを組み、森島が左MFで起用されるなどテスト色のより濃い顔ぶれだったグループが2−0で勝利(岩崎とMF伊藤洋輝=磐田U−18の得点)。ボール支配など内容面でも上回っており、2日目に行われたFC東京との練習試合でも、彼らが先発のピッチに立った。

 対するFC東京は今週末に行われるJ3リーグ開幕戦を見据えたFC東京U−23の選手たちをベースにしつつも、調整中の昨季Jリーグ得点王のFWピーター・ウタカも先発に名を連ね、東南アジアからの練習生も加わった少しイレギュラーな編成のチーム。U−20代表からしてみると、同世代の選手も多く、負けていい相手でないことは明らかだった。日本側は負けられないという意識を持ちながら、同時に(実は指揮官の意図どおり)多少連係面でチグハグな部分もあるチームで、どう個としての力を出し切れるか。それが問われることとなった。

存在感を示した森島と伊藤

森島は世界大会に向けた新候補として、充分に存在感を示した 【川端暁彦】

 常連選手以外で前半組においてしっかり存在感を示したのは、まず森島である。四日市中央工業高校から広島へ加入して2年目の技巧派MFは意欲的にボールに絡みながら、課題の守備面でも「ガツガツいくことを意識している」プレーを見せると、16分には(これまた課題だった)DF裏へのフリーランニングから岩崎のパスを呼び込んでPKを獲得。自ら蹴ったこのキックは相手GK廣末陸の好守に遭ったが、こぼれ球を再び押し込んで前半唯一のゴールを記録してみせた。広島では今季開幕戦で先発して5人抜きシュートを見せるなど(惜しくもゴールならず)その才幹を発揮しつつあり、世界大会に向けた新候補として浮上してきた感は十分だった。

 また高校2年生ながら飛び級招集となったボランチの伊藤もアグレッシブなプレーを見せて、前日の紅白戦に続いて猛アピール。「絶対、世界大会へ行きたい」と語る186センチの大型センタープレーヤーは似たタイプの選手が見当たらないだけに、将来性を考えても候補の1人だろう。

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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