東西メイン記者はデムーロのゴールドに◎ 2017年GI開幕フェブラリーS座談会

競馬専門紙「優馬」

根岸組に過去の覇者 まだまだ控える有力候補

前哨戦の根岸Sを鮮やかな追い込みで制したカフジテイク(黒帽)(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「ここまで話に上がらない根岸S組だが、昨年のモーニンの例もあることだし、カフジテイクが重賞初Vの余勢を駆って、というシーンも考えられるよな。にもかからわず、◎の支持が少ないのは、やっぱり距離なんだろうか」

久光「◎が僕だけ、というのは少々意外ですが、カフジテイクは1400mがベスト、というのは過去の話です。武蔵野Sは単なる位置取りの差、チャンピオンズCも勝ち馬とはコース取りの差のみで、ともに評価できる内容でしたから、距離で能力発揮の幅があるようには思えませんね。癖を知る津村騎手への手戻りなら、割り引く必要もいっさいありませんよ」

小野智「思わぬ大チャンスを迎えた津村騎手ですが“追い切りの感触は上々で、順調に来ています。どんな流れでも確実に脚を使えますし、このチャンスを生かしたいです”と。馬券を離れてGI初勝利を応援したいですね」

目黒カフジテイクは、初重賞勝ちを飾った前走の根岸Sは強かったですが、今回と同じ舞台の武蔵野Sで3着に敗れている点はやはり気懸かりで、湯窪助手も“あの時も状態は良かったので、敗因が馬場だったのか、展開なのか。今回もその点が気になるね”とのことでした。大一番に向けて“落ち着きがあり、状態に関しては前走よりさらにいい”と言いながらも、厩舎初のGIタイトルがかかる一戦を前に、冷静な評価をしていましたよ。強いレースをした後で過剰に人気しそうですが、今回は先行争いが激化する可能性は低く、追い込み一手のこの馬を過大評価するのは危険だと思います。それでも、実績馬が安定した成績を残せていない近況だけに、充実期を迎えたこの馬が一気に栄冠を手にするシーンは十分あると思いますが」

西田「私は、その根岸Sで2着のベストウォーリアに魅力を感じますね。鋭い決め手を持った有力馬も多いですが、今年の乾いた馬場を考えると持久力が要求されるでしょうし、ある程度前目で運べる馬から、順調度や近走のパフォーマンスを考慮すれば、安定感抜群のこの馬が浮上すると思います」

加茂「今年が4回目の挑戦となるわけやけど、3年前が中一週の強行軍で惨敗し、近2年は逆に間隔が開き過ぎて伸び切れなかったと思うんですわ。今年は初めて根岸Sから始動して、58キロを背負って正攻法の競馬で2着。年齢的にもラストチャンスをモノにしようという陣営の気迫がビンビン伝わってきますわ」

桜井「同世代のコパノリッキーにも言えることですが、前走のレースぶりからも、ベストウォーリアに全く衰えは見られません。どんな舞台や相手でも常に上位に来ている安定感を買いたいですね」

小野智「それでいて、いつも何かにやられてしまう馬なんですけど、今年は加茂ちゃんも言うとおり、根岸Sを叩いて理想のローテーションですからね。マイル戦に関して言えば、メンバー最多タイの勝利数ですし、また何かにやられたとしても、軸としては信頼できると思いますよ」

瀬古ベストウォーリアの根岸Sは2キロの斤量差を考えれば、勝ち馬と同等かそれ以上の評価を与えていいですし、そもそも前哨戦とすれば十分過ぎる内容です。7歳になりましたが“それほどレースも使ってないので馬は若い。久々でも走る馬だけど、叩いた今回の方がより動ける”と、古泉助手も期待を寄せていましたし、モーニンとの2頭出しとなる厩舎ですが、“復活”よりも“四度目の正直”となる可能性の方が高いかもしれませんね」

守屋「僕は“復活”に期待してコパノリッキーを。言うまでもなく2014年、15年と連覇した馬ですが、近走は外から被せられると嫌気がさす気性が、段々ひどくなってきている印象を受けます。ただ、ツボにハマった際の強さは格別で、現に昨年の南部杯、帝王賞、かしわ記念と交流GIを3連勝してますからね。自分のリズムで、被されずに行けるかが最大の焦点ですが、差し・追い込み勢に有力馬が揃った印象で、もしかしたらマイル戦では例のない“逃げ”という思い切った手段に武豊騎手が踏み切っても不思議はないと思います。坂路の動きを見ても衰えてきた感じはなく、仕上がりも良さそうですから、3度目Vの可能性も十分ありますよ」

小島「ここ3戦の走りからも、コパノリッキーが今回そう人気になるとは思えませんし、他のジョッキーも“もう終わったかな”と思い始めているんじゃないですかね。当然、マークも緩んでスンナリ気分良く運べると思いますよ」

中邑「これまで坂路では速い時計を出さなかった馬ですが、今回は最終追いでも好タイムをマークしたように、陣営の調整に工夫も見られますね。この馬にとってはハイペースであっても、気分良く運べる形が“マイペース”。それが叶いそうなメンバー構成なら、迷わず買いですよ」

桜井コパノリッキーの近走については、村山師も“年齢的なものか、以前より生ズルくなってきている。それが淡白なレースぶりに表れてしまっているが、けっして能力的な衰えではない”と穏やかな口調で話していましたが、揉まれずにマイペースで運ぶことができればGIでもまだまだやれる、という自信の裏返しのようにも感じられましたね」

伊利「僕はチャンピオンズCの内容が負けて強しだったアスカノロマンの巻き返しに期待します。1000mから1400mまでの中盤で、11秒8−11秒8と全くラップが緩まなかったことで、後方待機が上位に台頭する流れとなったわけでしたが、4コーナー2番手から3着のこの馬は驚異的な粘りを見せたと言えますよ」

馬場アスカノロマンの前走は不完全燃焼の競馬でしたが、本格化以降、左回りで崩れたのは、前走と砂の深い内を通った南部杯だけですからね。昨年のこのレースでは初コースで3着と舞台適性も申し分ないですし、その昨年の上位2頭に勢いが感じられない今年は、チャンス十分だと思います」

瀬古「気になるのは前走の敗因でしょうが、内に包まれて動くに動けない形でしたからね。“わかりやすい馬で、いつもレース後は大人しくなるのに、前走後はうるさかった。全然走っていない証拠だよ”と、佐藤厩務員。釘田助手も“昨年と比べても硬さがないし、一番良かった頃の状態に近い”とデキに太鼓判を捺しています。昨年3着時よりもいい状態なら、当然チャンスですよね。僕の担当厩舎に有力馬が多いんですが、敢えて最も人気にならないこの馬に◎を打ったのも、そういう理由です」

デスク「あとは、サウンドトゥルーだな。チャンピオンズCではイイ思いをさせてもらった馬だから買いたい気持ちもあるんだが、やっぱり急遽の乗り替わりもマイナスになるんだろうな」

田崎「この馬の手綱を取り続けて、昨年の最優秀ダート馬にまで出世させた大野騎手が騎乗停止となったことは確かに痛手でしょうが、加えて芝スタートの1600mがこの馬にとって厳しい条件と言えますね。昨年も、舞台を嫌って回避したはずですから」

小島「乗り替わりについては、陣営も出馬投票ギリギリまでジョッキー選びに難航し、他には北村宏騎手や柴山雄騎手の名も挙がった中で、最後はベテランの腕に期待したのでしょうね。追わせるタイプの馬は柴田善騎手も得意としていますし、乗り替わり自体には陣営もそれほど不安視はしていませんよ。格下の馬に敗れた前走にしても、コーナーのキツい小回りコースでも直線でしっかりと伸びていたように、今の充実ぶりは窺える内容でした。課題の芝スタートさえクリアできれば、崩れることはないはずです。って、僕の印はヌケですが…」

デスク「あと、エイシンバッケンもな、何でこんなに人気がないのか、と思ってるんだ」

「ダートでは1400mまでしか経験がない馬ですから、距離が不安視されていると思いますが、陣営は“マイルまでなら距離はもつ”と言っています。賞金上位馬の回避によって出走が叶った幸運もありますし、軽くは扱えないと思いますよ」

久光「“逃げ・先行馬が少なくてスローになる”というような声をさっきから耳にしてますけど、僕は追い込み馬に◎を打ったことからもわかるように、そうは思わないんですよ。逆に前半はポジションを取りに行く馬が多くなって、結構忙しい流れになるんじゃないかと…。そこで、穴馬としてケイティブレイブを挙げておきます。何で先行馬を、と思われるかもしれませんが、先行馬でもスローな流れでは自身の持ち味である持久力が生かせない馬。距離短縮もギリギリの守備範囲ですし、中央GIのタイトな展開でパフォーマンスを上げる可能性があります。同じ舞台のヒヤシンスSで、勝ったゴールドドリームとコンマ4秒差の実績からも計算は立つはずですし、外枠を引いたことで忙しい先行争いにも巻き込まれずに済みそうですしね」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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