工藤監督の契約延長で若手育成に加速 ソフトバンクキャンプで注目の若鷹は?

田尻耕太郎

名コーチもうならせる高橋純平

期待の投手一番手は2015年ドラフト1位の高橋純平 【写真は共同】

 投手の一番手は、高橋純平(19歳)だ。昨年は12球団ドラフト1位で唯一1軍デビューを果たせなかった右腕だが、2年目の飛躍に大いに期待したい。昨年秋のキャンプ中に佐藤義則投手コーチからのアドバイスで投球の際のインステップを修正。その初日にはマウンドの投手プレートからホームベースへ真っ直ぐ白線を引き、それを目印に左足を下ろす位置を体に染み込ませたが、2、3日もするとその白線は消えていた。

「誰が見てもいいピッチャー。飲み込みも早いし、なにより投げているボールが強い」(佐藤コーチ)

 ダルビッシュ有や田中将大といった右の大エースの若手時代を指導した名伯楽をうならせた背番号47は、「意地でもステップアップしたい」と闘志を燃やしている。

 1軍マウンド未経験組では笠原大芽(22歳)と石川柊太(25歳)も楽しみな存在だ。笠原は昨季ウエスタン・リーグで22試合に登板し、リーグ最多の投球回数(128.1回)を投げた。最多勝の9勝、リーグ1位の118奪三振、同3位の防御率2.52を記録。オフには「第1回WBSC U−23 ワールドカップ」の日本代表に選出され、決勝戦で先発を任されるなどして初優勝に貢献もしている。

 石川は育成ドラフト1位で入団して今季が4年目。昨季途中に支配下登録入りした。最速153キロも制球難が課題とされたが、今年1月に1つ年下の千賀に誘われた自主トレで投球フォームが激変した。自主トレを主宰したコウノエスポーツアカデミーの鴻江寿治代表に「人間の身体は、大きく分けると2種類」という理論を学んだ。

「僕と千賀は違うタイプだった。そこを目指してきたが、なかなかうまくいかなかった理由がわかった」

 ともに自主トレを行った中日エースの吉見一起が同タイプと分かり、6日間のトレーニング合宿では“密着取材”をした。フォームについて学ぶのはもちろん、吉見自身の独自のトレーニング法も学び、このキャンプ中にもさっそく取り入れるつもりだ。

打では「ミギータ」真砂に注目

「ミギータ」真砂は自主トレで柳田に弟子入り 【写真は共同】

 ところで、投手陣よりも「世代交代」がより深刻な問題となっているのは野手陣の方だ。内川聖一(34歳)、松田宣浩(33歳)、本多雄一(32歳)、長谷川勇也(32歳)と中軸バッターの多くが30代中盤に差し掛かっている。

 プロ野球は5年周期でチームが変わるとも言われる。柳田悠岐(28歳)や中村晃(27歳)が1軍で台頭し始めたのが12年頃だった。

 そろそろ次世代が出てきてほしい時期なのである。

 楽しみな選手はいる。「ミギータ」というニックネームが定着しつつある真砂勇介(22歳)。1軍経験はないが、オフに笠原も参加した「U−23 ワールドカップ」で大ブレークを果たした右打ち外野手だ。日本代表の4番を務め、大会で4本塁打を放ち見事MVPに輝いたのである。

「まさかの4番バッターでした。ホークスの2軍でも打ったことないのに」

 しかし、パワーはギータこと柳田級だとチーム首脳陣がお墨付きを与えている。ミギータの由来は「右のギータ」だ。

「ギータさんと並んでロングティーをしたときに藤本(博史)打撃コーチから『お前すごいな。ミギータや』と言われたのがきっかけです」

 この1月の自主トレはその柳田に弟子入り。阪神の糸井嘉男らとともにグアムで行い、「間近で見るだけでもいい経験になった」と目を輝かせた。

 そのグアム自主トレにもう一人帯同した若鷹が黒瀬健太(19歳)だ。高校時代に通算97本塁打を放った規格外のパワーの持ち主。昨季は3軍スタートだったが、夏場に2軍公式戦の出場機会を増やして15試合出場ながら3本塁打を放った。ソフトバンクにとっては是が非でも育ってもらいたいスラッガー候補である。

 このオフ、一流のエキスを吸収した若鷹は他にもいる。上林誠知(21歳)は2年連続でチームの先輩・内川、広島の“神ってる男”鈴木誠也と一緒に汗を流した。古澤勝吾(20歳)は松田のグアム自主トレに、釜元豪(23歳)は長谷川勇と中村晃との宮古島トレに帯同させてもらった。今宮健太は「チーム今宮」を結成し、同じ内野手の牧原大成(24歳)、曽根海成(21歳)、川瀬晃(19歳)と刺激し合っていた。

 17年、挑戦者の立場からリーグ制覇と日本一を取り戻しに行く。2月の春季キャンプは彼ら若手の多くがA組入りすることも決まっており、例年以上に活気に満ちあふれるキャンプになることは間違いない。

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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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