工藤監督の契約延長で若手育成に加速 ソフトバンクキャンプで注目の若鷹は?
名コーチもうならせる高橋純平
期待の投手一番手は2015年ドラフト1位の高橋純平 【写真は共同】
「誰が見てもいいピッチャー。飲み込みも早いし、なにより投げているボールが強い」(佐藤コーチ)
ダルビッシュ有や田中将大といった右の大エースの若手時代を指導した名伯楽をうならせた背番号47は、「意地でもステップアップしたい」と闘志を燃やしている。
1軍マウンド未経験組では笠原大芽(22歳)と石川柊太(25歳)も楽しみな存在だ。笠原は昨季ウエスタン・リーグで22試合に登板し、リーグ最多の投球回数(128.1回)を投げた。最多勝の9勝、リーグ1位の118奪三振、同3位の防御率2.52を記録。オフには「第1回WBSC U−23 ワールドカップ」の日本代表に選出され、決勝戦で先発を任されるなどして初優勝に貢献もしている。
石川は育成ドラフト1位で入団して今季が4年目。昨季途中に支配下登録入りした。最速153キロも制球難が課題とされたが、今年1月に1つ年下の千賀に誘われた自主トレで投球フォームが激変した。自主トレを主宰したコウノエスポーツアカデミーの鴻江寿治代表に「人間の身体は、大きく分けると2種類」という理論を学んだ。
「僕と千賀は違うタイプだった。そこを目指してきたが、なかなかうまくいかなかった理由がわかった」
ともに自主トレを行った中日エースの吉見一起が同タイプと分かり、6日間のトレーニング合宿では“密着取材”をした。フォームについて学ぶのはもちろん、吉見自身の独自のトレーニング法も学び、このキャンプ中にもさっそく取り入れるつもりだ。
打では「ミギータ」真砂に注目
「ミギータ」真砂は自主トレで柳田に弟子入り 【写真は共同】
プロ野球は5年周期でチームが変わるとも言われる。柳田悠岐(28歳)や中村晃(27歳)が1軍で台頭し始めたのが12年頃だった。
そろそろ次世代が出てきてほしい時期なのである。
楽しみな選手はいる。「ミギータ」というニックネームが定着しつつある真砂勇介(22歳)。1軍経験はないが、オフに笠原も参加した「U−23 ワールドカップ」で大ブレークを果たした右打ち外野手だ。日本代表の4番を務め、大会で4本塁打を放ち見事MVPに輝いたのである。
「まさかの4番バッターでした。ホークスの2軍でも打ったことないのに」
しかし、パワーはギータこと柳田級だとチーム首脳陣がお墨付きを与えている。ミギータの由来は「右のギータ」だ。
「ギータさんと並んでロングティーをしたときに藤本(博史)打撃コーチから『お前すごいな。ミギータや』と言われたのがきっかけです」
この1月の自主トレはその柳田に弟子入り。阪神の糸井嘉男らとともにグアムで行い、「間近で見るだけでもいい経験になった」と目を輝かせた。
そのグアム自主トレにもう一人帯同した若鷹が黒瀬健太(19歳)だ。高校時代に通算97本塁打を放った規格外のパワーの持ち主。昨季は3軍スタートだったが、夏場に2軍公式戦の出場機会を増やして15試合出場ながら3本塁打を放った。ソフトバンクにとっては是が非でも育ってもらいたいスラッガー候補である。
このオフ、一流のエキスを吸収した若鷹は他にもいる。上林誠知(21歳)は2年連続でチームの先輩・内川、広島の“神ってる男”鈴木誠也と一緒に汗を流した。古澤勝吾(20歳)は松田のグアム自主トレに、釜元豪(23歳)は長谷川勇と中村晃との宮古島トレに帯同させてもらった。今宮健太は「チーム今宮」を結成し、同じ内野手の牧原大成(24歳)、曽根海成(21歳)、川瀬晃(19歳)と刺激し合っていた。
17年、挑戦者の立場からリーグ制覇と日本一を取り戻しに行く。2月の春季キャンプは彼ら若手の多くがA組入りすることも決まっており、例年以上に活気に満ちあふれるキャンプになることは間違いない。