【新日本プロレス】IWGP王者オカダが45分超え死闘でオメガを粉砕 内藤が棚橋超えで防衛「一つの時代が終わった」

高木裕美

憧れていた棚橋を倒しIC王座を防衛

かつて憧れていた棚橋を下しIWGPインター王座ぼうえいに成功した内藤は「一つの時代が終わった」としみじみ 【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 セミファイナルのIWGPインターコンチネンタル選手権試合では、王者・内藤哲也が棚橋弘至を下し2度目の防衛に成功した。
 内藤はかつて“天才”と称されながらも、エースの座には届かず、大ブーイングを浴びるなど低迷。だが、メキシコ遠征をきっかけに、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)旋風を巻き起こし、昨年はプロレス大賞MVPを獲得。「プロレス界でもっとも神ってる男」として、観客の絶大な支持を集めた。

 一方、棚橋は昨年まで6年連続、ドーム大会のメインを務めていたが、昨年はケガによる長期欠場もあり、タイトルを一度も獲得できず。「最後の希望」であった内藤とのタイトルマッチ決定も、ドームの試合順を問うファン投票の開催を内藤に全否定され、メインの座を奪うことは叶わなかった。

新テーマ曲で登場した棚橋だったが…

【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 棚橋は自身の代名詞ともいえるテーマ曲『HIGH ENERGY』を封印し、新テーマ曲で登場。一方、かつては“太陽のエース”棚橋に憧れていた内藤は、紫のスーツで入場すると、マットに寝転がったり、ツバを吐きかけたりといった下品なファイトで挑発。棚橋は10分過ぎ、場外へのハイフライアタックから、あえてエプロンに寝そべって挑発し返すと、内藤も雪崩式フランケンシュタイナー、ジャーマンスープレックス、フライングエルボーアタック、グロリア。

【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 棚橋はならばとテキサスクローバーホールド、ドラゴンスクリュー、スリングブレイド2連発からハイフライフローを繰り出すが、内藤はこれを回避しデスティーノ。さらに再びハイフライフローを放った棚橋に、捨て身のヒザ剣山を突き刺すと、コーナーからのリーバーススイング式デスティーノからの正調デスティーノで3カウントをもぎ取った。

【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 試合後、いつものようにベルトを投げ捨てると、倒れたままの棚橋を見下ろして、目を見開くポーズを見せた内藤だが、去り際に棚橋に向かって深々と一礼。かつては「早くオレのところまで来いよ」と見上げる存在であった棚橋に、「早くオレのところまで戻って来いよ」と呼びかけると、「彼はもう終わった人間。戻ってくることはないと思うけどさ、戻ってこようとするのは自由だから。楽しみに待っているよ」と、メッセージを送った。

復活したエルガンが対戦をアピール

【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 だが、その直後に棚橋のタッグパートナーであり、前王者であるマイケル・エルガンが乱入し、「オレの目を返してくれるか? このベルトを元の場所に戻してやる。その日を数えて待ってろ。バカヤロー」と王座挑戦を表明。両者は9.25神戸大会で同王座をかけて戦い、内藤が王座を奪取するも、10.10両国大会ではエルガンがピンフォールを奪取。だが、その試合で内藤の低空ドロップキックがエルガンの目に入り、眼窩底骨折の重傷を負ったため、リマッチは実現していなかった。
 このエルガンの訴えに、内藤は「何カ月もズル休みをして、やっと今日戻ってきた。本当に目は折れてたの?」とケガ自体に疑いの目を向けると、「彼が何を求めているのか知らないけど、トランキーロ、あっせんなよ」とニヤリと笑い、ベルトを放り投げて去っていった。

後藤が柴田との因縁対決を制しNEVER奪取

盟友・柴田との因縁対決を制しNEVER王座を奪取した後藤 【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 因縁の同級生対決となったNEVER無差別級選手権試合では、後藤洋央紀が柴田勝頼を倒し王座を奪取した。
 三重県立桑名工業高校レスリング部の同級生であり、かつてはIWGPタッグ王座も獲得した両者だが、後藤がCHAOS入りしたことで決別。だが、進化が見られない後藤を柴田が「何も変わってねぇ。むしろ中途半端に拍車がかかっている」と批判したことで、両者の遺恨が再燃した。

【写真:SHUEHI YOKOTA/宮木和佳子】

 序盤から柴田が得意の蹴りで攻め立てると、後藤の反撃にも歯を食いしばって受け止め、意地を見せつける。後藤がラリアットを繰り出せば、柴田がハイキック。後藤がバックドロップで投げると、柴田も即座に投げ返していく。10分過ぎ、後藤がリバース牛殺しを放つと、柴田もジャーマンスープレックスで応戦。ならばと後藤がラリアットを見舞えば、柴田も武者返し。肉体と魂の壮絶な削り合いの末、柴田の胴絞め式スリーパーをこらえた後藤が、牛殺し、昇天・改、頭突き連打から裏GTR、GTRと怒涛の猛攻を仕掛け、勝利をつかんだ。

「しっかりリング上で会話をした」と3年ぶりの一騎打ちを噛み締めた後藤は、「明日からNEVER王者として、胸を張って、自信を持って、リングで戦いたい」と、気合十分。一方、テーピングを引きちぎって叩きつけ、悔しさを爆発させた柴田は、「これでNEVERは一区切りだ」と、昨年は主戦場としていた同王座からの撤退を匂わせた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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