今季のリーガは5強の優勝争いに? 新たに加わったセビージャとビジャレアル

セビージャとアトレティコ・マドリーの直接対決は肉弾戦に

セビージャとアトレティコ・マドリーの直接対決は、激しい潰し合いが行われる肉弾戦となった 【Getty Images】

 先週末行われた最も重要な一戦は2人のアルゼンチン人監督、ホルヘ・サンパオリとディエゴ・シメオネが率いるセビージャ対アトレティコ・マドリーの上位直接対決だ。

 このカードの常であるが、今回も両者の対戦は戦略的にお互いの良さを消し合いながら、激しい潰し合いが繰り広げられる肉弾戦となった。その結果、ホームのセビージャは長らく勝利どころか、ゴールすら決められなかったライバルを下し、首位レアル・マドリーと勝ち点1差の2位に浮上した。11月6日のバルセロナ戦で再び真価を問われることになるが、ここまでの戦いぶりは、今後に期待を抱かせるには十分だ。

 まだセビージャは確固たるチームの機能性を確立できているわけではないが、守備は極めて安定しており、攻撃面でも2人のキーマン、フランコ・バスケスとサミル・ナスリが中盤と前線のつなぎ役として定着してきた。中盤にはアトレティコ・マドリー戦でゴールを決めたスティーブン・エンゾンジも欠かせない存在となっている。

 セビージャに敗れたことで、首位とは勝ち点3差がついてしまったものの、それまでシメオネ率いるアトレティコ・マドリーは無敗を貫いてきた。もう何年もタイトル争いを経験してきただけに、彼らが1つの敗戦でシステムを変更したり、危機感に駆られるようなことはないはずだ。19日の第12節にはビセンテ・カルデロンでのマドリーダービーも控えており、ここでレアル・マドリーを直接たたくことができれば、再び首位争いで優位に立つこともできる。

バルセロナはイニエスタの負傷をどう補うか

イニエスタがバレンシア戦で負傷。復帰までは6〜8週間かかる見通しだ 【Getty Images】

 バルセロナには先週、良いニュースと悪いニュースが1つずつあった。

 良いニュースは世界最高の選手であるリオネル・メッシの復帰だ。足首の負傷により1カ月近くも戦列を離れていた彼は、ピッチに戻るなり驚くべきパフォーマンスを発揮し、復帰してからの3試合で計6ゴールを決めてみせた。そのうち3ゴールは19日に行われたマンチェスター・シティとのCLで、2ゴールはホームのメスタージャで大健闘を見せたバレンシア相手に決めたものだ(試合はそれぞれ、4−0、3−2でバルセロナが勝利)。

 残念なニュースは、そのバレンシア戦で生じたアンドレス・イニエスタの負傷だ。エンソ・ペレスのファウルを受け右膝の靭帯を痛めた彼は、復帰まで6〜8週間かかる見通しとなった。12月3日にはカンプノウでレアル・マドリーとのエル・クラシコも控えているだけに、ルイス・エンリケ監督は彼の不在をどう補うのか気になるところだ。

 首位レアル・マドリーはここまで無敗を保っているが、年内にアトレティコ・マドリー、バルセロナとのアウェー戦が控えている。かつてない混戦を予想させる今季の首位争いは、リーガにさらなる魅力を加える新たな調味料としての役割を果たしている。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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