女子フィギュア、勝負の鍵は演技構成点 “かつてない混戦”の今季を占う
ジュニアはロシアと日本の2強
昨シーズンの世界ジュニアを制した本田真凜(写真)らは、来季のシニア参戦を見据え、どこまでスケーティング技術を身につけられるか 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
女子の場合、身体が小さくて細いジュニアのほうが「3回転+3回転」の成功率が高く、シニアに上がる16〜19歳あたりはスランプに陥る選手も多い。そのためジュニアのトップグループのほうがシニアよりも、ジャンプだけ見れば高得点という逆転状態に。紀平も9月のジュニアGPスロベニア大会ではトリプルアクセルを成功させて194.24点をマークした。ただし紀平は、18年平昌五輪には年齢が足りず出場できない。
平昌五輪に向けては、来季のスケート年齢が15歳となる本田や、17歳となる坂本がシニア参戦すれば、安定的なジャンプを武器にできるだろう。彼女らが、今季のうちにどこまでシニアに匹敵するスケーティング技術を身に付けるか、注目したい。
個性の時代へ、プログラム勝負
本郷理華は、長身を生かした幅の広い演技に期待 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
浅田は、ショートとフリーで同じ楽曲『リチュアルダンス』を使用する。ショートではピアノの音色を繊細に、フリーではオーケストラの音色をダイナミックに表現する。卓越したスケーティング力が必要とされる試みで、芸術的な領域に足を踏み入れたといえる。
宮原は、淡く切ない恋物語を表現する『ラ・ボエーム』と、ダイナミックに宇宙を表現する『惑星』の2曲。「笑顔を作るのが苦手なので、ショートはまだぎごちない感じ。フリーは少しつかめてきたと思う」と語るとおり、ショートは新たな持ち味の模索、フリーは確実な高評価を狙ってきた。来季の五輪に向けて、できれば表彰台に乗っておきたい。
今季は得意な楽曲で、攻めに徹するのは本郷。特に今季のフリー『アラビアのロレンス』は、男子が使うことが多いほど力強い楽曲で、ダイナミックな演技を見せることで国際舞台での存在感を示すことができる。
シニア初参戦の樋口新葉。力強いジャンプが持ち味だ 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
今季から五輪にかけて、女子はジャンプ技術的には大きな変化はなく、“個性の時代”を迎えた。自分の持ち味を引き出す“運命の一曲”にこの2シーズンの間に出会えるかどうか――。一人でも多くの女子が、芸術的領域へと踏み入れる瞬間を待ちたい。