姉を超える差し一撃! ヴィブロス戴冠 冴えた福永の手綱「思い描いた競馬」

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中団外からの競馬、狙い通り!

「思い描いた通り」中団外から直線一気の脚で差し切った 【スポーツナビ】

 そして、軌道に乗ってきたヴィブロスをこの秋華賞で完ぺきにエスコートし、さらに上昇気流へと乗せたのが鞍上・福永の手綱だ。

「今日は挑戦者の立場だと思っていましたが、思い描いた通りの競馬ができましたね。馬もよく頑張ってくれました」

 ジョッキーが語った“思い描いた競馬”というのは、中団外めから脚を伸ばすレース。「内に入れるつもりは全くなかったですね。秋華賞はいつもある程度流れてくれるレースなので、外めの中団くらいから、いいところで折り合いをつけていきたいと思っていたんです」。一番注意していたというスタートも決まり、道中の隊列はちょうど中団。外からかぶせてくる馬もなく、まさしく“思い描いた競馬”をそのまま実践できたというわけだ。

ゲストプレゼンターの有村架純さん(左)と記念撮影、一児の父でもある福永は「こんな娘がいたらいいな(笑)」と共同インタビューでテレ笑い 【スポーツナビ】

「早すぎず遅すぎずのところで仕掛けようと思っていたんですが、周りの馬に左右されず自分のタイミングで追い出すこともできました」

 理想どおりの道中から追い出すタイミングも完ぺき。弾き出されたヴィブロスが繰り出した末脚はメンバー最速タイの3F33秒4! ただ、アッサリ差し切ることができたわけではなく、先に抜け出していたパールコードが「思った以上にしぶとかった」(福永)。しかし、そんな2着馬の最後の抵抗も振り切り、グイっともうひと伸びしてみせた勝負根性こそ、姉ヴィルシーナ譲りだったと友道調教師は語る。

「これがやはり血統なんでしょうね。最後にしっかり勝ってくれるところはお姉さん譲りであり、母譲りでもあるんだと思います」

将来性に太鼓判「日本を代表する馬に」

将来性は抜群! 日本を代表する牝馬へと期待がかかる 【スポーツナビ】

 大本命だったオークス馬シンハライトが故障により回避したことで、一転して大混戦となった今年の秋華賞。「その中でしっかり結果を残してくれたことに価値がある」と福永。そう、この秋華賞は世代最強の一角が戦線離脱した直後の一戦だったからこそ、今後この世代の牝馬の将来性も問われたレースだったと思う。その点、ヴィブロスならば大丈夫だ。2013年生まれ世代の牝馬代表として、十分に古馬とも渡り合ってくれるだろう。福永も太鼓判を押している。

「夏場はまだ条件クラスにいたくらいですから、本当にこれからの馬です。そういった時点でもうGIを勝ってくれましたから、今後がますます楽しみですね。このまま順調に行ってほしいですし、日本を代表する馬になってくれればと思います」

 友道調教師によれば現時点で次走は未定だが、何事もなく順調に行けば11月13日のGIエリザベス女王杯(京都2200メートル)が有力候補の1つだろう。ヴィルシーナは3歳時のこのレースでも2着に惜敗している。秋華賞で姉を一歩超えた妹が、次の一歩でも姉超えを果たすか。もちろん来年以降、古馬となってからも姉をしのぐ活躍への期待が膨らむばかりだ。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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