いよいよF1日本GPが開幕 ドライバーが語るレース展望と日本の印象

田口浩次

フェルスタッペンはポケモン好き

わざと仲が悪い雰囲気を出そうと、ソファにクッションを置いて距離をとるフェルスタッペン(左)とリカルド 【田口浩次】

 さて、こうした一般的なレースの質問では、ある種当たり障りのない答えが返ってくるもの。だが、少し毛色を変えた質問をしたところ、色々とドライバーの性格が見えてきた。3人に聞いたのは、『少年時代を振り返って、日本のモノや文化で影響を受けたことはありますか?』というものだ。そして、それに加えて少しそれぞれ違う質問をしてみた。

フェルスタッペン:ポケモン!(笑)。ポケモンは僕が子どもの頃、ベルギーやオランダでもすごく有名だったよ。学校では誰もがポケモンカードも持っていたしね。

──じゃあ、ポケモンGOもインストール済みですか?

フェルスタッペン:もちろん(笑)。僕の周りにもインストール済みの人は沢山いるよ。

──ちなみに好きなポケモンは?

フェルスタッペン:うーん、能力が高いやつかな。街ですごい数の人がポケモンを探していたりと、社会現象になっているよね。

──少し話は変わりますが、昨年の日本GPでは免許取得直前でしたね。あれから1年、やっとプライベートカーを運転できるようになってどうですか?

フェルスタッペン:退屈だよ!(笑)。というのも、飛ばせるわけじゃないしね。大事なのはスピードを出すことではなく、安全に移動すること。なんにせよ、どこに行くにもライセンスがないと運転できないわけだからね。この1年で色々あったけど、感想は退屈かな。

すきやばし次郎は予約が一杯

実際の2人はとても仲良し 【田口浩次】

リカルド:少年時代から振り返ってみて……うーん、そうだな。(日本の影響は)実のところ特にないってのが真実かな。というのも、僕が子どもの頃、今とは随分違って見えると思うけど、家の中で過ごすことが好きだったんだ。本当に今とは真逆だよね。(オーストラリアの)パースから出て、家族でメルボルンとかに旅行もしたけど、僕自身は小さな自分の世界にいるのが好きでね。食事だって、好き嫌いというより、いろいろと冒険して食べることを一切しなかった。パスタでさえそんなに食べなかったよ。今思えば、ただただ子どもだったんだね。でも、レースをして、外の世界を色々と飛び回るようになって、僕自身にも多様性が生まれたんだ。とくに食事に関してはね。今では生魚の寿司を食べるようになった。寿司は大好きだよ。そうして僕自身に多様性が生まれてから、本当に物事がいろいろと楽しめるようになった。日本の文化もそれから楽しめるようになった感じだ。いろんな新しいものが僕をエキサイトさせてくれるんだ。

──マレーシア後、すきやばし次郎へ行きたいと言ってましたね。

リカルド:うーん、実は一カ月前くらいで予約をしようと思ったら、本当に予約が一杯で、残念ながらすきやばし次郎には行けなかったんだ。でも、僕はもう来年の予約はしてきたよ(笑)。ただ、他に素敵な場所で食事は楽しめたから良かった。

──そういえば、表彰式で日本のウイスキーを楽しみたいと言ってましたね。

リカルド:月曜にサントリーの響17年を飲んだよ。少し甘くて、素晴らしいウイスキーだね。この週末を終えたら、また少しゆっくりマレーシアの勝利も含め、リラックスした時間を満喫したいね。

──その一方で、表彰台でのシューイ(自分が履いていたシューズにシャンパンを入れて飲んだ)の味はいかがでした?

リカルド:間違いなく最悪のタイミングでの勝利だよね(笑)。汗をいっぱいかいた靴を器に飲んだんだから。でも、僕は最高に嬉しかったよ。ただ、ニコ・ロズベルグは喜んでいなかったね。味見をさせられて。レース後のプレスカンファレンスでロズベルグから、「もし次に勝っても、あれはもうやめてくれよ!」って言われたよ(笑)。

六本木ヒルズの新車発表にゲスト参加したパーマーはルノー・スポールが、「もし六本木でF1を走らせたら?」というテーマで作成した『ROPPONGI GRAND PRIX』のコースを見学 【田口浩次】

パーマー:うーん、なにより日本の文化は僕たちのウエスタンや他の地域の文化とは大いに違っているよね。だから僕はレースでこうやって違う文化の地へ来て、いろいろと体験したり経験することは大好きなんだけど……。少年時代から振り返ってみて、そうだな。ある意味、イギリスには多くの日本からの発信が広まっていると思うよ。まず日本車が多く走っていて、文化的なものも当たり前のようにすでにある。日本食も好きだし、いつから好きになったといわれても難しいんだ。僕は今25歳だけど、イギリス人の僕にとっては子どもの頃から日本のモノというのは近くにあったって印象かな……。

  ※    ※    ※

 レース以外の質問をしてハッキリと感じられたのは、何事にもリラックスしていて、実際に日本のアニメで育ったことがわかる天真らんまんなフェルスタッペン。まるで日本人を思わせるほどに相手の質問の真意を読みとき、しかも自分の説明で相手に間違った印象を与えてはいけないと言葉を追加して、丁寧に説明をするリカルド。そして、2世ドライバーとしてある種恵まれた環境で育ったことで、あまり相手に合わせることが慣れていないパーマーという具合だ。

 いよいよ始まった日本GP。世界のトップドライバーと聞くと遠い世界のように思えるが、実は誰がカッコいいとかこんな性格なのかと違った視点で見ていけば、より身近に感じるかもしれない。

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