別次元のステージへと踏み出したBリーグ 統合問題は一区切り、次は代表強化へ

飯田康二

上出来すぎるほどだった選手のパフォーマンス

「特別な日」は終わった。次は、いかにバスケットボールの魅力を伝えられるか 【加藤よしお】

 いざオープニングセレモニーが始まると、予想以上のスケールにただただ驚かせられるばかりだった。LEDディスプレイを敷き詰めたコートも、場内の観客を取り込んだ演出など、事前に聞いてはいたし、準備状況などもSNSを通じて情報を得ていた。それでも、抱いていたイメージをはるかに超え、時に不覚にも目頭が熱くなった。

 舞台はこれ以上もないほど整った。あとは、コート上の選手たちのパフォーマンスだけだ。出だしはA東京が一気に走りそうな勢いだったが、琉球が何とか持ちこたえると、一時は逆転。その後もキングスが粘りを見せ、離されれば追いつく、終盤まで楽しめる展開となった。随所でビッグプレーも見られ、なかなかの好ゲームだったと思う。いや、開幕戦としては上出来すぎるほどだったと、従来からのバスケファンは思う。それが未知数の人たちにどう評価されるのか。

 試合後の会見で琉球の岸本隆一が開幕戦を振り返り「別次元のステージだった」と語ったのが印象的だった。そして「へたなプレーはできないといった、見られることの不安を初めて感じた」と。こうした環境は間違いなく、選手たちを成長させるに違いない。それが日本バスケットボールの底上げにもつながる。

 試合後に大河正明チェアマンが「リーグの統合問題は、一区切りついた」「日本代表を強くすることが次のステップ」と話したように、日本バスケットボール界が抱えていた大きな問題の1つが解決したが、それがゴールではないのだ。

 今回のこのコラムで、何を書こうかと思いめぐらしながら試合会場から帰宅し、録画しておいた開幕戦の放送を観ながらあらためて感じた。「特別な日」は終わったのだ。これからは「2つのリーグが1つになった」などとは関係なく、過去を知らない新しいファンたちに、いかにバスケットボールの魅力を伝えられるかにかかってくる。別次元のステージへと踏み出した新しいリーグの、それぞれのチームの、選手たちの挑戦を見るために、また会場に足を運ぼう。

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著者プロフィール

『月刊バスケットボール』元編集長。1968年生まれで神奈川県出身

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