ハリル「ハイレベルな予測が鍵になる」 W杯最終予選 UAE、タイ戦メンバー発表

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メンタルにはコミュニケーションの要素も入っている

メンタルの話では、コミュニケーションに関しても言及した 【スポーツナビ】

 先ほども言ったが、勇気を持つこと、自信を持つことが大事。グラウンド上のキャラクターを変えたい。アグレッシブに勝つ試合が、これからも続いていくと思う。ユーロを思い出してほしい。あえて「小国」と呼ぶが、アイスランド、ウェールズ、北アイルランド。彼らはフィジカルとアグレッシブさで結果を残した。たとえばイタリアも個々では優れた選手はいなかったが、守備とアグレッシブさで、世界で一番強いスペインを倒した。われわれは、こうした姿勢を見せなければならないと思った。

 それからメンタルにはコミュニケーションも入っている。私は1年半、選手と働いているが、「こんにちは」としか言わない選手もいる。合宿の間、「こんにちは」だけだ。それでは駄目だ。頑固な選手もいて、自分を変えたくない選手もいるが、変えることもできるのではないか。グラウンド上では絶対にしゃべらないといけないが、何人かはまだまだおとなしい。1年半「こんにちは」しか言わない選手については、変えていきたい。

トレーニングはグラウンド上だけではない

 身長を急に伸ばすことはできない。ただし、力強さは出せる。より力強くなることはできるのだ。海外組については問題ない。国内組は、就任当初は80%が私の(定めた)体脂肪を超えていた。(体脂肪の)理想は10%くらい、12%はぎりぎりだ。16%や18%の選手を、皆さんはどう思うか。絶対におかしいと思うだろう。要求していかないと、(代表での)チャンスは作れない。

(上半身裸のクリスティアーノ・ロナウドの写真をスクリーンに映して)この選手は世界で一番良い選手だ。このような選手は、私のような体脂肪はない。世界一の選手が、こうやって(コンディションを整えて)いるのだから、何人かの選手はこれを見てほしい。フィジカル的なところでは、100%の準備が必要だ。ハイレベルでは、それがないとプレーできない。

 そしてトレーニングはグラウンド上だけではない。筋力トレーニング、そして生活管理。体脂肪率の高い選手の生活管理はどうなのか。食べ物はどうか、アルコールはどうか。(自分の腹を指して)ここに溜まると私みたいになる(笑)。私は食べ過ぎているが、ちゃんと毎朝走っている。この資料には、何をしなければならないかが書かれている。有酸素運動、無酸素運動、プライオメトリクス(トレーニング法の一種)、筋力トレーニング、疲労回復。ここはわれわれが一番やらなければならないことだ。すべてが生活管理であり、そこもフィジカルだ。筋肉を準備するとはどういうことか。槙野は筋肉に問題があってけがをした。

 (サポータをバックに全員で肩を組んだ写真を見ながら)これは私が好きな写真だが、サポーターも含めて全員で、この最終予選を戦っていこうと思っている。それから、選手のアイデンティティーカードを作った。これは選手のカルテだが、名前、ポジション、身長、体重、それから身体生理学的なテスト、心拍数、乳酸性作業闘値、さらにこれまで日本になかったものも導入する。疲労回復がどれだけ進んでいるのか、心拍数はどうか、そういったレポートがすぐに出てくる。

一番向上させるべきなのはフィジカルの準備

 これは筋力の問題だが、ももの前と後ろ、大腿四頭筋とハムストリングのバランスが大切だ。そのバランスが崩れると、けがのもとになる。ここの部分は、われわれもしっかりトレーニングしていかないといけない。筋力測定をして、どれだけの出力が出るのかを見ていかないといけない。そしてこれらの数値から、初めて専門的なトレーニングが始まる。

 まだ合宿では試していないが、まずはこれを見せないといけない。フィジカル的な準備では、何をしていかないといけないのか、彼らに伝える必要がある。この準備を一番向上させていかなければいけない。それから疲労回復だ。今、どのビッグクラブもやっているクライオセラピー(冷却を用いる治療)も導入して、疲労回復をさせていきたい。メディカルトレーナー、フィジカルトレーナーを含めて、こうしたパフォーマンスを上げていきたい。

 個人カルテの続きだが、これはメディカルスタッフが中心となって追跡しているのだが、サッカー人生の中で何が起きてきたかだ。たとえばひざを手術した選手がいたとする。重傷だった場合、100%に戻ることはまずない。つまり彼は、常に治療やリハビリやマッサージを続ける必要がある。それらについても、あなたにはこれが必要だというのを個人的に出していく。内田(篤人/シャルケ・ドイツ)も長い期間出術しているし、武藤もそうだ。筋力が何%回復しているのかも含めて把握しなければならない。これらのプログラムを遂行しなければ、成功に導くことはできない。

 この資料を3カ月かけて、スタッフ全員で準備してきた。すべての細かいディテールを突き詰めて、成功に導いていかなければならない。全員で協力していかなければならない。そしてわれわれは野心をもって最終予選に臨む、勝って予選を突破することができれば、そこにヒストリーが生まれる。

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