ハリル「ハイレベルな予測が鍵になる」 W杯最終予選 UAE、タイ戦メンバー発表
日本のフットボールのためにある資料を作った
ハリルホジッチ監督は3カ月かけて用意したという資料を紹介した 【スポーツナビ】
このページはベースとなる原則を盛り込んだだけのものだが、(田嶋)会長にも西野(朗)技術委員長にも渡した。これはすべてのカテゴリーで使用してほしい。ここに到達すれば、日本が(世界の)フットボールに入っていけると思う。フランスでユーロ(欧州選手権)を視察していたが、直接試合を観て日本の長所と比較しながら作った。この資料に何が含まれているのか、簡単に紹介したい。
守備は下がりながらでなく、前を向きながら
Jリーグを見ていてどうだろうか。ブロックを敷くが、引いてブロックしている。そして、そこで止まった状況になっている。アグレッシブに前に行っているだろうか。(そういうチームは)非常に少ない。川崎が少しやっているくらいだ。他のチームは、ただ待っているだけだ。われわれ日本代表が、もう少しハイプレスをかければ……まあ、言うだけなら簡単だが。それでも守備は、下がりながらではなく、前を向きながらやってほしい。Jリーグは下がりながらやっていて、まだまだ問題がある。下がりながらだと、ボールホルダーとの距離ができてしまう。
それからデュエルだ。地上戦なのか空中戦なのか、その中でアグレッシブさをもって行かないと成功はない。Jリーグでは見られないが、デュエルというのはベースだ。その原則はここに入っている。そしてどこでボールを奪うのかもいろいろある。それをこと細かに、この資料に入れた。すぐに前へ行くのか、それともいったんブロックを敷くのか。それは、いろいろなトレーニングをやりながら落とし込んでいく。そして最後の30メートルでどうするか。相手をフリーで動かしてはいけない。10メートルでどうするのか。ここでは本当に、体が触れ合うくらいのマークをしなければならない。
合宿ではこれをひとり1冊ずつ、全員に渡す。自分たちのクラブではこんなことはやらないかもしれない。先ほど岡崎の話もしたが、A代表では彼はクラブとは全く違う役割をしなければならない。A代表では、彼は香川真司になってほしくない。ただ、イングランドでは異なるプレーをしている。そういうことを彼もやっていかなければならない。
守備の原則というものを求めている。この試合(までには)トレーニングが2回できるだろう。しかしUAEは2カ月間もの間、トレーニングをしている。私は2回トレーニングできれば良い方だと思っている。10〜12時間かけて移動してくる選手もいる状況で、インテンシティー(プレー強度)が高いトレーニングができるだろうか。もしかすると、ハムストリングの問題が起こるかもしれない。
FKのゴールは0.3%しかない
攻撃の原則には何があるのかだが、バルセロナのようにプレーするのは難しい。ステレオタイプになってはいけない。日本の選手はパワーがあるわけではないので、グラウンダーのボールを素早く回さないといけない。(相手の)背後にボールを要求しなければならない。そして全員が動きを連動させなければいけない。ポジションチェンジをしながら、ボールは足元なのかスペースなのか。
15〜20試合をやってきたが、PKを1回とFKを3回もらったくらいだ。われわれはずっと攻めているのに、それしかもらっていない。オフェンスのアグレッシブさを向上させないといけない。FKは30%がゴールになる。われわれは(FKによるゴールが)0.3%しかない。その数字を伸ばさないといけない。それはメンタルでアグレッシブに仕掛けていかないくてはならない。ペナルティーエリア内でファウルを誘うことも重要だ。それらがオフェンスの原則だ。ミドルシュートや、ファーポストや真ん中など、常に説明している。とにかく、全員がうまく連係して、グラウンダーでボールを素早くつなぐことが重要だ。