銀の坂井が見せた“根性レース” 「200バタ第一人者」瀬戸への挑戦状
「バタフライと言えば坂井」に
「『バタフライと言えば坂井』と言われるように」と、プライドをのぞかせた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
瀬戸はそれを「根性レース」と称した。奥野コーチは「設定したラップタイムを、一番重要なレースで実現できた。やっぱりたいした選手だなと思った」と、愛弟子の快挙に目を細めた。昨年の世界選手権同様、タッチ差で順位を上げきれなかったため、「つめが甘い。あと100万回タッチを練習しないと」と笑いながら苦言も呈したが、メダル獲得という目標を達成できたことに満足感を示した。
坂井は自らのレースを振り返って、喜びをあらわにした。
「タッチしたときは4着くらいかなと思って電光掲示板を見たら2番でした。ビックリして、興奮を抑えられなかったです。金メダルと日本新記録を狙っていたので、悔しい気持ちもありますけど、こんなにうれしいことは正直ないですね」
そして、瀬戸への感謝とともに、自らのプライドものぞかせた。
「瀬戸さんから『おめでとう』と言ってもらえたのが一番うれしかったです。瀬戸さんがいたから僕もこんなにタイムを伸ばすことができたし、感謝しています。今後も『バタフライと言えば坂井』と言われるように頑張っていこうと思います」
坂井の快挙に沸いてから約1時間後、男子4×200メートルリレーで日本は52年ぶりに銅メダルを獲得した。200メートル平泳ぎ準決勝では坂井の大学の後輩である渡辺一平(早稲田大)が五輪記録となる2分7秒22をマーク。この2日間、メダルのなかった日本に、坂井が再び勢いを与えた。
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)