銀の坂井が見せた“根性レース” 「200バタ第一人者」瀬戸への挑戦状

スポーツナビ

「バタフライと言えば坂井」に

「『バタフライと言えば坂井』と言われるように」と、プライドをのぞかせた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 決勝は、まさにその強さが出たレースとなった。最初の50メートルは25秒37で5位。150メートル時点では6位とさらに順位を落とした。しかし、最後の50メートルを29秒67で泳ぎきり、フェルプスをあと一歩まで追い詰める2位に浮上したのだ。

 瀬戸はそれを「根性レース」と称した。奥野コーチは「設定したラップタイムを、一番重要なレースで実現できた。やっぱりたいした選手だなと思った」と、愛弟子の快挙に目を細めた。昨年の世界選手権同様、タッチ差で順位を上げきれなかったため、「つめが甘い。あと100万回タッチを練習しないと」と笑いながら苦言も呈したが、メダル獲得という目標を達成できたことに満足感を示した。

 坂井は自らのレースを振り返って、喜びをあらわにした。

「タッチしたときは4着くらいかなと思って電光掲示板を見たら2番でした。ビックリして、興奮を抑えられなかったです。金メダルと日本新記録を狙っていたので、悔しい気持ちもありますけど、こんなにうれしいことは正直ないですね」

 そして、瀬戸への感謝とともに、自らのプライドものぞかせた。

「瀬戸さんから『おめでとう』と言ってもらえたのが一番うれしかったです。瀬戸さんがいたから僕もこんなにタイムを伸ばすことができたし、感謝しています。今後も『バタフライと言えば坂井』と言われるように頑張っていこうと思います」

 坂井の快挙に沸いてから約1時間後、男子4×200メートルリレーで日本は52年ぶりに銅メダルを獲得した。200メートル平泳ぎ準決勝では坂井の大学の後輩である渡辺一平(早稲田大)が五輪記録となる2分7秒22をマーク。この2日間、メダルのなかった日本に、坂井が再び勢いを与えた。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント