夏の甲子園で150キロ超えの球児たち 松坂、新垣から始まったロマン

週刊ベースボールONLINE

佐藤由規は155キロもその試合で涙

仙台育英高・佐藤由規の残した155キロは未だに夏の甲子園の最速記録として残る 【写真=BBM】

 07年になると市立船橋高・岩嵜翔(現ソフトバンク)が文星芸大付高戦で150キロを出す。しかしこの大会で、もう一人の怪物が夏の甲子園に登場する。仙台育英高・佐藤由規(現ヤクルト)だ。入学当時は体の線が細く、最速でも125キロ前後の真っすぐしか投げられなかった。そこから下半身を強化し、体全体を使う投球フォームに変えてから球速がグングンと伸びた。3年生の夏、甲子園に登場した佐藤は「みちのくの怪腕」として1回戦の智弁和歌山高戦で150〜153キロの真っすぐを連発し、17奪三振の快投で世間をアッと言わせた。
 
 そして迎えた2回戦。智弁学園高との戦いに、甲子園には佐藤を見ようと5万人の観客が詰めかけた。4回に入り、先頭打者を1ボール2ストライクと追い込んで迎えた5球目。外角いっぱいに狙った真っすぐが最速となる155キロを計時。この瞬間、夏の甲子園最速男が寺原から佐藤に代わった。しかし、試合は2対5で敗戦。「調子自体は良かった。最後まで全力で楽しくプレーできたので悔いはない」と数字だけを残し甲子園を去った。

続々と150キロ超え

左腕では花巻東高・菊池雄星が154キロを記録し、最速記録を樹立 【写真=BBM】

 その後、09年に花巻東高・菊池雄星(現西武)が東北高戦で154キロを投げ左腕最速男に。また、投手と遊撃手を兼務していた明豊高・今宮健太(現ソフトバンク)が菊池に触発され花巻東高戦で154キロをマーク。またその明豊高相手に西条高・秋山拓巳(現阪神)が150キロを出した。11年には当時2年生の花巻東高・大谷翔平(現日本ハム)が帝京高戦で150キロ。唐津商・北方悠誠(元横浜DeNAほか)が作新学院高戦、金沢高・釜田佳直(現東北楽天)が習志野高戦で153キロを出した。12年には春夏連覇を果たした大阪桐蔭高・藤浪晋太郎(現阪神)が2度153キロを記録。しかし、佐藤の最速記録は抜けなかった。 そして13年大会で済美高・安樂智大(現楽天)が三重高戦の初回に155キロを計測し、佐藤の高校最速記録に並ぶ。その後は昨年の優勝投手、東海大相模高・小笠原慎之介(現中日)が151キロを出している。
 
 剛腕の甲子園登場は、大会を大いに盛り上げる。今年の夏は、佐藤、安樂を超える剛腕が出現するだろうか。今や剛腕投手は150キロ台が当たり前になってきた感があるだけに、160キロのロマンを見せてくれる投手が出現してほしいものだ。

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