高校野球芸人と都立強豪校を見てきた――カネシゲタカシの『ぷぷぷぷプロ野球』

カネシゲタカシ

エースで4番を欠いても強かった!

試合が進むにつれて、少しずつ悪化する天候 【カネシゲタカシ】

 5回まで0対0、両軍一歩も譲らず。しかし徐々に雨脚が強くなる中、試合は動きます。

 6回裏、城東の攻撃。ランナーを二塁に置いてバッターは5番の長濱有昨選手(3年)。

 藤田が持ってきた雑誌に「一発パンチ力も秘める長濱。基本、右打ちだが投手のタイプによっては左で打つことも」とあり、「どんな気まぐれスイッチヒッターだ」と突っ込んでいたら……。

 右打席で初球を捉え、先制タイムリー二塁打!

 湧き上がる三塁側スタンド。そこから城東打線は連続二塁打などで畳み掛け4対0。あっという間に均衡が崩れます。

「うーん、キャッチャーは間を取ったほうが良かったですね。同じリズムで投げてるから単調になって初球を狙われました」

「ピッチャーは回の頭から交代させてあげたかったな」

 藤田は監督の気持ちで戦況を見つめます。

 そして7回。反撃を狙う日大一は、走者が出ると4点ビハインドでも送りバント。ええ、どうして?

「こういう作戦のとき監督は“1イニング1点”で計算するものです。コツコツ返せば最後には追いつくっていう。でも残り3イニングで4点差だから、ちょっと厳しいですね」

 そうこうしてる間に城東が試合を決定づける1点を追加。そしてすっかり本降りとなった雨のなか、5対0でゲームセット。

 強豪都立は、エースで4番を欠いても強かった!

敗者の夢も託されて勝者は進む――

スタンドには傘の花 【カネシゲタカシ】

 歓声に湧く三塁側、温かい拍手が送られる一塁側。顔を拭う日大一ナインのしぐさは雨のせいか、それとも涙のせいか。

「なかなかいい試合でしたね。今後は城東の戦績を見れば対戦相手のレベルがわかりますよ」と藤田。

 なるほどと思いつつ、考えたこと。

 それは城東が勝ち進めば勝ち進むほど、日大一も夢を見れるということ。「あの城東といい試合したんだ」と、彼らもまた胸を張れるということ。

 敗者の夢も託されて、勝者は進みます。

結果を伝える球場外のホワイトボード 【カネシゲタカシ】

チアリーダーたちも引き上げます 【カネシゲタカシ】

 残念ながら第二試合は雨天中止。

 応援に来た女子高生たちは家が近いのでしょう、雨の中傘も差さず、水しぶきと歓声をあげて自転車で走り抜けていきます。

 こうやって、ただ事実を書き起こしただけで夏の匂いがする。青春がありあまる。ああ、これが高校野球だ!

その後の城東は4強進出

 その後、都立城東は東東京大会の準決勝にまで駒を進めています。復帰したエース・関根投手に関してはこんな記事が。

城東・関根「アメトーーク」効果で帝京撃破/東東京(関連リンク参照)

 トータルテンボス藤田も出演していた『アメトーーク!』の高校野球企画が、思わぬ形で関根投手にパワーを送ったようです。

「なんか、つながったね」と藤田にLINEを送ると「つながりましたね(^_-)」と絵文字入りの返事。

 熱い思いの渦が、今年ももうすぐ甲子園に届きます。

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著者プロフィール

1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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