大学代表の主将、阪神・坂本が再び1軍へ 猛虎の要へ、3カ月の2軍生活を糧に

岡本育子

打撃で成長を見せた3カ月

 この3カ月で「打つことに関しては、ずっと見てもらっていて結果が出てきているので、これが変わったと思える1つ。でもまだまだ足りない。もっとこうしたいと思うところがいっぱい。思っていることと、できることの差が早く埋まっていくようにしたいです」と言う。

 7月8日に行われたウエスタンの福岡ソフトバンク戦(鳴尾浜)で“プロ1号”となるソロ、さらにタイムリー二塁打で2安打2打点。同12日の広島戦(由宇)でも二塁打を放つなど打撃好調である。
 
「ホームランは、(掛布雅之2軍)監督に『バッティングの感じが悪くないから、いってこい!』と言われて、いきました」と笑う。つまり、今の坂本選手の状態なら、十分に狙って放り込めると見て取った指揮官の一言だった。

 掛布監督からは常々、左足の動きを説かれているそうで「左ひざを柔らかく使わないと、いろんな球に対応できない。僕の癖をわかって言ってくださっている。そこを意識して状態がよくなっているので続けていきたい」と話す。
 
 その掛布監督は「坂本は小力(こぢから)もあるし、金本監督も僕もバッティングが悪いとは思っていない。体がレベルに振れるようになってきたから、ボールとバットが当たった時にミスが少ない。いい状態だと思いますよ」と評価している。

 長打も増えてきて、坂本選手自身も「思ったところで捉えられているのが一番かな」と納得はしつつ、「基本は守備。相手に点をやらなきゃ負けないわけですし、その中で打てるに越したことはないですけど。最近、点を取られること多い。そこはしっかりやらないと。自分で打点を挙げるのもいいんですが、それ以外に打って、つないで貢献したいと思っています。まあ点を取られないのが一番ですけど」と、守備第一を強調する。

岡崎に代わって1軍へ、守備で結果を

 フレッシュ球宴から2日後の16日、坂本選手は1軍の練習に合流した。岡崎太一選手が左手有鈎骨の骨折で手術を行ったこともあり、ペナントレース再開に合わせて昇格する見込み。矢野燿大1軍作戦兼バッテリーコーチも「前回上がってきた時よりはチャンスがあると思う。ファームで結果を出して上がってきたしね」と練習後に話している。

 本人は「まだまだこれからですけど、自分のやることに集中したい。前回も今回もやることは変わらない。チャンスもあると思うので、そこで結果を出せるようにしたい。チームが勝つことが(自分の)評価につながると思いますし、自分のできることをやるだけです」とコメント。

 やはり「守備の方で貢献していかないといけないし、それが求められていると思う。アピールしていきたい」と坂本選手は語る。1軍の打者との初対戦については「自分の思っていることが通用するのか、自分としても楽しみ。何か発見があるかもしれないので、しっかりやりたいです」とワクワクがドキドキを上回っている様子だ。

 最後に山田勝彦2軍バッテリーコーチの言葉。

「坂本のいいところは取り組む姿勢。配球、スローイング、キャッチングと一生懸命なのは誰でもそうだけど、彼はゲームに出ることによって成長してきた。自分なりにバッターを見て、このピッチャーのこのボールを、という意識ができてきた」

 今回、送り出すにあたって「この3カ月ファームでやってきた、そのまま1軍でやってほしい。今の感覚で。『ここでこれをやったら怒られる』とか思わずに、そのままやればいい。この感覚は間違っていないんだと信じて。それで打たれたら、またビデオを見て反省すればいい」とアドバイスを送る。
 
「1軍は何よりデータが重要になる。だからファームで感じたこと、頭に入れたことが困った時に役立つ。それを信じて今のままやってほしい」

 野球人生において3カ月など、ほんの一瞬だ。いつかは虎の要となるべく、坂本選手のプロ第一歩がいよいよ始まる。

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著者プロフィール

兵庫県加古川市出身。プロ野球ナイター中継や、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって30年以上。ウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それから阪神の2軍を取材するようになり、はや20年を超える。

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