ユーロ敗退も、評価は上々のドイツ代表 各紙が分析する敗因と大会方式への疑問

負担が増える一方で、試合の質は低下

シュバインシュタイガー(7)やポドルスキらベテランが今後もドイツ代表に残り続けられるかは分からない 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 シュバインシュタイガーやポドルスキが、ドイツ代表のメンバーに残り続けられるか分からないのは、ロシアでW杯が行われる頃には2人がともに33歳になっているということだけが理由ではない。今大会に対する疑問がくすぶり続けるからだ。

 ユーロの大会形式は正しいものだったのか? 参加チーム数は16から24に拡大し、試合が増え、プレッシャーが増した。実際に、この大会フォーマットの下ではミュラーの低調ぶりが際立った。昨季、バイエルンと代表戦での最高レベルの戦いを60試合以上こなしてから、この大会に参加していたのだ。

 負担が増える一方で、試合の魅力は落ちた。前ボルシアMG監督のルシアン・ファーブルは『シュピーゲル』誌の中で、いくつかの試合は質がよくなかったと批判し、「中でも、グループステージは信じられないほど退屈だった。恐ろしいほどにね」と吐き捨てた。実際に今回ユーロはダラダラとしていて、緊張感は皆無だった。

 何しろ、グループステージで3位になっても、勝ち上がるチャンスがあったのだ。「決勝トーナメントでは、各グループのベストの2チームが戦い続けるべきで、3位のチームを含めるべきではない。ここがおかしな点だと思う」と、こちらもまたボルシアMGを率いた経験があるマックス・エバールも『ベストライン』のインタビューの中で語っていた。今回は、以前とはやや異なる大会だったのだ。ここは議論が必要になる点だろう。

評価されるレーブ監督の手腕

『キッカー』誌はレーブ監督(写真)について、「この代表監督の戦術的トリックは、完璧に成功した」と評した 【Getty Images】

 だが、レーブについては議論をする必要はない。『南ドイツ新聞』のクリストフ・クネーアは、レーブが今後の去就に含みを持たせたまま会見を終えた後、「この数年間で最高のレーブになったという印象を受けた」と記した。指揮官は「柔軟性のある試合のプランを作り出し、シュバインシュタイガーやポドルスキのこれまでの働きを尊重しつつ、ドラクスラーといった若手を大会における武器へと成長させた」と称賛したのだ。ティーモ・ミュラーも『キッカー』誌で、「監督の戦術的トリックは完璧に成功した」と認めた。

 ドイツでは、代表チームのユニホームは車にたなびかせる国旗とともに、またしまい込まれた。ユーロとはひとつの歴史であり、サッカーの世界は変わり続けていく。ブンデスリーガの新シーズン開幕まで40日を切ろうとしており、その頃には代表選手たちも回復していることだろう。それでも、今回のユーロはヨーロッパの各リーグに影響を及ぼすはずだ。

 街の広場は、常により多くの人が集まれるよう準備されている。ドイツ代表チームにとっては、うれしい話でしかない。そうでないとするならば、18年もまた、SNSでの「おふざけ」ばかりになってしまう。

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著者プロフィール

フランソワ・デュシャト 1986年生まれ。世界最大級のサッカーサイト「Goal.com」でドイツ語版の編集長を務め、13年からドイツで有数の発行部数を誇る「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)でドイツ西部のサッカークラブを担当する。過去には音楽の取材もしていた。ツイッターアカウントは@Duchateau。自身のサイトはwww.francoisduchateau.net。 ダビド・ニーンハウス 1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。

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