期待の“U25”力士たち、その可能性は? 元若の里、西岩親方の名古屋場所展望
“サラブレッド”琴鎌谷の課題
偉大な祖父、父のDNAを受け継ぐ琴鎌谷 【写真は共同】
貴乃花部屋にいる双子の貴公俊と貴源治、この2人はいいですね。上背もありますし、まだ18歳ですが、2人とも近くでみると、関取衆とかわらないようなハリをしています。押してもいいし、四つ相撲でもいいですね。バスケットボール出身ということもあって、身体能力、体のバネを感じさせます。
——大学出身、世界選手権優勝後に入門した小柳は三段目付出から順調に出世して、西幕下7枚目まできました。
幕下上位1ケタの力士はほぼ十両レベルの実力を持っているので、ここからは簡単にいかないでしょう。プロの大相撲とアマチュア相撲の最大の違いは立ち合いです。アマは1回で、両手を着いた状態で待って、審判の「はっけよい」という言葉で立ち上がりますが、プロはお互いの呼吸で立ち上がってから行司が「はっけよい、のこった」と言います。ここにアマ出身力士は戸惑います。ただ最近は遠藤、御嶽海もあっという間に幕内まで行っていますから、小柳もそんな予感はしています。
——祖父は53代横綱・琴櫻、父親は元関脇・琴ノ若の佐渡ヶ嶽親方という角界のサラブレッド・琴鎌谷はどうでしょう?
幕下以下で有望なのは彼です。ただ今、幕下上位や十両で相撲を取れるかといえば、まだその実力はありません。長身(186センチ)で本格的な四つ相撲をとるところは将来性を感じさせます。
——そういうところは父親の佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)と……
似ています。それと身体の柔らかさもありますね。白鵬のようなしなやかな筋肉を持ってますね。お父さん(佐渡ヶ嶽親方)はどちらかといえば、膝のけがで苦労されましたので、けがをしないような相撲を取ってもらいたいですね。琴鎌谷は右四つを得意としているのですが、そればかり考えています。まずは当たって前へ攻めて、それから右四つになることを身につけたほうがいいです。
ーー親方になってスカウトをすることもあると思いますが、どういった視点で子どもたちを見ますか?
やはり、相撲は体の大きさや力だけでは勝てません。最終的に番付が上がっていくのは、やはり運動神経がいい子ですね。今の横綱は3人とも素晴らしいですし、朝青龍と何回も対戦しましたが、とても145キロある人の動きじゃない。70キロくらいの人の動きをするわけですよ。これからは新米親方として、相撲をやっている子だけでなく、運動神経のよい子をさまざまな競技から見つけていきたいですね。