ゴルフで相次ぐ五輪辞退の行方 金メダルより重いメジャータイトル

正念場の時期に行われるリオ五輪

代表入りが濃厚な松山だが、ジカ熱の不安などから出場に慎重な姿勢を見せている 【Getty Images】

 ゴルフの五輪出場選手は、男女ともに7月11日に発表される世界ランキングによって決定する。その週の木曜日(14日)が全英オープン初日だ。次いで7月21日からRBCカナディアンオープン。7月28日から全米プロ選手権。8月4日からトラベラーズ選手権。そして8月11日にリオ五輪の男子ゴルフの初日を迎える。その週もPGAツアーは日程を組んでおり、同時開催でジョンディアクラシックが行われる。

 リオ五輪の次の週は、ウィンダム選手権が待っている。昨年のこの大会で石川遼は、フェデックスポイント125位以内に入って、今シーズンのシードに滑り込んだ。このように、次シーズンのシードが確定していない選手にとって、ここまでのPGAツアーは、リオ五輪と同時開催のジョンディアクラシックも含め、1試合も疎かにできない正念場になる。

ゴルフ競技、また長い冬眠に入る可能性も

 五輪のゴルフ出場選手は、男女とも60人で、なるべく多くの国から参加させたいという国際ゴルフ連盟(IGF)の意向があり、下位の選手は7月11日時点で世界ランキング300位台になる可能性もある。世界ランキング上位の選手は全英オープン、全米プロ選手権に全力を傾けたいと考えるだろうが、五輪出場の60人に選ばれた選手の中には、PGAツアーのシード獲得を優先させ、何とか125位以内を確保したいと考える者もいるだろう。

 ウィンダム選手権で125位に入った選手は、PGAツアーのハイライトであるプレーオフシリーズ4試合へと駒を進める。プレーオフシリーズは1戦ごとに出場選手の人数が絞られ、最終戦のツアー選手権(9月22〜25日)には30人の選手しか出られない。昨年は、その最終戦をジョーダン・スピース(米国)が制して、1000万ドル(約12億円)のボーナスを手にしている。夢のような金額である。

 7月の全英オープン、全米プロ選手権の2つの男子ゴルフの大イベントと、8月末から始まるプレーオフシリーズ4戦は、PGAツアーで戦う選手とっては大きな目標だ。そして、シードを目指す選手には、次シーズンに向けた足掛かりともなる大事な時期である。その日程の狭間となるリオ五輪をどう位置付けていいのか、選手たちに迷う気持ちがあっても当然だろう。

新設された「オリンピック・ゴルフコース」の18番ホール。この地で大歓声に迎えられる選手は誰になるだろうか 【Getty Images】

 ゴルフは2020年の東京大会でも開催が決まっている。関係者の中には「リオ大会のゴルフ競技は東京大会に向けての試行錯誤」とする意見もある。競技方法も含めてリオをたたき台にすると言うのだ。しかし、20年以降もゴルフが五輪で存続するかどうかは、17年に五輪委員会で協議される。もし、リオでのゴルフ競技が盛り上がりに欠けたとしたらどうなるのだろうか。112年ぶりに五輪へ復帰したゴルフ競技。五輪という舞台に関しては、また長い冬眠に入る可能性もある。

 7月11日に発表される世界ランキングで決定する男女各60人の選手たちの奮起に期待したい。それは多くのゴルフファンの願いでもある。

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著者プロフィール

長らく週刊ゴルフダイジェストでトーナメント担当として世界4メジャーを始め国内外の男子ツアーを取材。現在はフリーのゴルフジャーナリストとして、主に週刊誌、日刊誌、季刊誌になどにコラムを執筆している。

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