“超変革”原口文仁「夢見ていた場所」 苦節7年目で虎の正捕手へ躍り出る
勝ったときは疲れが吹き飛ぶ
5月は好調な打撃で月間MVPを獲得。「1球たりともムダにしたくない」との姿勢が好結果を生んでいる 【写真=BBM】
いやあ〜、ないです。今はとにかく、試合にどうやって勝つかに集中していますので……。でも、勝ったときには疲れなどすべて吹き飛ぶ感じです。すごくうれしいです。
──その中で、克服しなければいけない守備とは何でしょうか。
リード面ではインコースの使い方です。打者の傾向を見ながら、インコースを使っていいのかどうか、をやっていかないと、と。僕がマスクをかぶるとホームランを打たれ過ぎています。ベンチで先輩投手に聞いたりはしていますが。
──6月7日の千葉ロッテ戦(QVCマリン)で能見(篤史)投手が6回に2点目となるソロ本塁打を打たれ敗戦(1対2)となりました。
はい。あれは完全な僕の配球ミスでした。相当痛かったです。先頭打者を塁に出したくないという思いがあり、いくつかの配球パターンを考えた末で出した真っすぐのサインでした。今振り返れば考えが甘かったなあ、と思っています。でも、その後に能見さんとしっかり話ができました。というより、考えを教えてもらえました。
──打たれて、負け投手になっても教えてもらえる。そういう先輩がいるのは素晴らしいです。
はい、本当にありがたいです。こういう経験を絶対にムダにしません。
月間MVPは「勢いで行きました」
2軍でバッティングの調子が上がってきたところでの支配下登録でしたので、そのままの調子でプレーできたことは大きかったです。そこまで緊張することなく打席に入れましたので。ファームでやってきたとおりのことをそのままの勢いで1軍の打席で出せて、MVPは取らせてもらいました。勢いで行きました(笑)。
──投手の球も1軍と2軍は違うと言われます。
打っているとき、調子がいいときは、1軍、2軍も関係ないと思いました。一方で、1軍で抑えられるときは、打ちにいくゾーンが低いです。インコースを突かれて、低めで勝負されているな、と。
──1軍では1打席の中で、まったく打てるボールがなかったということもあるのではないでしょうか。
ありましたね……はい、実際にありました。でもそこを何とかしてヒットにしないといけないです。今の僕の場合は、もらっている打席なので、「あのボールはしょうがないよ」ということはできないです。
──もらっている1球1球だという気持ちですね。
はい。だから1球たりともムダにしたくないですし、守備も同じ気持ちです。今は、自分のためのプレーがチームのためになると、思いながら臨んでいます。どのような打席でも塁に出て、得点圏に走者がいたら、どんな形でもホームにかえす打撃をしたいです。打つことで勝ちに貢献できますし、結果を残していきたいと思います。
──いい打撃をすれば気持ちよく守備に就けますよね。
それは全員そうだと思います(笑)。今は本当にいい経験をさせてもらっているので、疲れている暇はないです。
──これが思い描いていた充実感というものでしょうか。
はい。なかなかこんなに毎日試合に出て、キャッチャーをやってということはなかったので。しかし1軍は、想像以上に緊張しますし、これから先、シーズン中盤、終盤になればすごいプレッシャーがかかってくるんだろうな、ということを今からでも感じています。今はとにかく打つほうも、守るほうもしっかり結果を出したいという気持ちで毎日を過ごしています。
(取材・構成=椎屋博幸)