「変わらない和田、変わった松坂」 斉藤和巳氏が鷹の昭和55年組を語る

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斉藤氏でも想像できない胸中

5月14日のウエスタン・広島戦で途中降板後、リハビリ組に合流した松坂 【写真は共同】

 一方、松坂を斉藤氏はどう見ているのか? 昨年8月に内視鏡による「右肩関節唇及び腱板クリーニング術」「ベネット骨棘切除術」「後方関節包解離術」の3種類の手術を受け、キャンプは2軍スタートだったものの、オープン戦終盤には古巣・西武プリンスドームのマウンドに立ち、開幕後もウエスタンリーグで登板を重ねるなど、一歩一歩着実に復活への歩みを進めているようにみえた。しかし、5月14日の広島戦で2回途中9失点でKO。降板時には右手の指を気にする仕草を見せていた。

「これについてはわかりませんが、右肩の影響は少なからずあると思います。ただ、今の彼は昨年の手術をする前と比べれば明らかに状態は良いです。もちろんみなさんがイメージしている松坂大輔には程遠いかもしれませんが、昨年8月に手術を受けて、まだ1年足らず。ここまで投げられているというのは良い状態にあると言えます」

 斉藤氏も18年間の現役生活(最後の3シーズンはコーチ登録)を通じて何度も右肩痛に苦しみ、右肩腱板の手術、そしてリハビリの末にユニホームを脱いだ。リハビリの苦しみを誰よりも知るからこそ、松坂の胸中についても慎重に想像する。

「とにかく大輔は大変だと思います。メジャーに行って思うような結果も残せず、大型契約を結んだことについて批判を受け、さらにまたも手術を受けて思い通りに投げられない。彼の思いは、誰にも想像できないと思います」

「2軍にいることでも価値はある」

 では、長いリハビリを経て約10年ぶりにNPB公式戦のマウンドに上がる時、松坂大輔はどのような投球を見せるのか? ピッチングスタイルについては「投球スタイルも現時点でだいぶ変わっています。昔のような『困ったときにストレート』という投球はもうできません。和田のように変わらずにいられる投手もいますが、これから先、困ったときはスライダーやカットボールを使っていかなければいけません」と予測する。

 だが、その新しい投球スタイルを披露するためには、リハビリを経て体を万全な状態に戻さなくてはならない。だが斉藤氏は「早く戻りたい」という投手心理に釘を刺しつつ、かつてのライバルにエールを送った。

「松坂大輔、という男の価値に対して球団は3年間の複数契約と高い年俸を払ったんですから、少しずつ返していけばいいと思います。彼は1軍にいなくとも2軍にいることによる好影響、存在価値もあると思います。今は2軍の試合で少しずつ投げることがリハビリです。来年の開幕から絶対にやる、くらいの気持ちでいいと思います。矛盾するようですが、『焦らず短期で』。それぐらいで良いと思います(笑)」

斉藤和巳氏プロフィール

かつて和田とはチームメイトとして、松坂とはライバルとしてプレーした斉藤和巳氏 【スポーツナビ】

1977年11月30日生まれ。95年ドラフト1位で南京都高から福岡ダイエー(現ソフトバンク)に入団。2003年には20勝を挙げ最多勝など投手タイトルを総なめすると、その後もホークスのエースとして活躍。08年に右肩を痛め手術を受け、12年からはリハビリ担当コーチとして現役復帰を目指すが、13年7月に復帰を断念しユニホームを脱いだ。現在はテレビなどで評論家として活動している。

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