SBバンデンハークが語る14連勝の理由 オランダで生まれ、異国で続けた成長

週刊ベースボールONLINE

最初は捕手としてプロ契約

来日から無傷の14連勝。その裏にはオランダで生まれ米国、韓国、日本と3カ国を渡り歩きながら学んださまざまな技術がある 【写真:BBM】

 02年にマーリンズと契約を交わした際は捕手。その後、投手に転向し、07年にはメジャーデビューを果たした。しかし、12年までオリオールズ、パイレーツと渡り歩く中で、メジャーでつかんだ白星はわずかに8つ。その後は韓国、日本とアジアに戦いの場を移した。今年31歳になる右腕が成長を続ける理由。

──決して野球が盛んとは言えないオランダで、野球を始めたきっかけは?

 父に教わったことが始めたきっかけでした。ただ、小さいころはサッカーも柔道もプレーしていたことがあります。それで12歳くらいのときに自分は野球だと決めました。プレーしていて一番楽しかったのが野球。純粋にそれだけの理由です。

──オランダの野球の環境を教えてください。

 それほどたくさんの子どもたちが野球をやっているわけではありません。特に私はオランダ南部の小さい町の出身です。大きな町であれば、チームにちゃんとした人数がそろうんでしょうけど、私がいたチームは9人を集めるのにも苦労していました。試合がある日にはまったく野球をやったことがない友達にも声を掛けて、来てもらったこともあります。試合にならないから、どうかお願いしますって(笑)。

──充実した環境とは言えません。

 日本とは学校の制度が違いますが、小学校が終わると次は高校の5〜6年間があります。ただ、高校には日本で言う部活動はありません。学校が終わってからクラブチームで野球をやっていました。それも平日の練習は週に2回くらいです。週末は試合があることもありますが、年間でもそれほど多くありません。私は高校を卒業した後に米国に行きました。

──それは野球を求めたから?

 キャッチボールをしているところをマーリンズのスカウトが見てくれていたんです。それが16歳のときで、米国に連れていってもらいました。そのときは年齢制限があってすぐに契約はできなかったので、マーリンズのフロリダにあるアカデミーで練習を積むことになりました。同時に英語を学びながら学校にも通いました。そして18歳で契約することになりました。そのときはキャッチャーだったんですよ(笑)。

──いまの姿からは想像がつきません。

 毎日試合ができるフィールドプレーヤーになりたいという気持ちは持っていたんです。でも、周りの選手が打っている姿を見て、自分はこんなふうに打つことはできないなと、実力の差を痛感していました。バッティングが苦手で……(苦笑)。自分でもピッチャーのほうが可能性があるんじゃないかと思っていましたし、マーリンズの球団の方たちもいずれピッチャーにしようと考えてくれていたようです。米国に渡って以降、体も大きくなってきて、投げる球も良くなってきていましたから。

「学ぶことはたくさん」

──本格的な投手としてのキャリアはプロ入り後から始まったのですね。

 そういうことです。だからたくさんのことを学びながら、まだまだ成長できると思っています。

──そのメンタリティーは、日本での、そして福岡での生活をエンジョイしていることにもつながっていそうですね。

 福岡はとっても好きな町です。奥さんと2人でとっても満喫しています。大きな町でもありますが、少し郊外に行くと自然もたくさんありますし、すごく気に入っています。いろいろな文化に触れることは私たちにとって、喜ばしいことです。

──日本で何を成し遂げたいと思っていますか。

 基本的な考えとして、少しでもいいピッチャーになりたいという思いがあります。そのための努力を続けることです。日本人のピッチャーにも優れた選手がたくさんいます。米国に渡って活躍している選手も多いですしね。日本の他球団にも、ソフトバンクにもいいピッチャーがいて、彼らが持っている良いものを学び取ろうという気持ちでいます。

 また、ソフトバンクにはクドウサン(工藤公康監督)、サトウサン(佐藤義則投手コーチ)という素晴らしい実績を持った監督、コーチがいます。2人からもたくさんのものを学びたいと思って、練習でもたくさんのことを質問したりしているんです。配球やメカニックのこと、学ぶことはたくさんあるので、少しでも、一つでも多く、自分の知識に加えることができたらいいと思って、毎日やっています。

──野球はバンデンハーク選手の人生において、どのような位置付けのものでしょうか。

 野球がすべてだとは言わないですけど、小さいころからの夢だったプロ野球選手になって、いま日本でプレーしています。とても大きな情熱を捧げられるものです。だから、野球をやめなければならない日が来るまで、少しでもいいピッチャーになることを目指してやっていくものですね。

(取材・構成=菊池仁志/通訳=山田雄大)

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