ThreeBond Racing レースレポート【2024 全⽇本スーパーフォーミュラ選⼿権 第2戦九州⼤会】

SUPER FORMULA/SFgo
チーム・協会

第2戦は最南端の九州大会 開幕戦の感触を維持し上位を目指す

2024年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第2戦が5月18日(土)~19日(日)にかけて大分県のオートポリス・インターナショナルレースコース(以下オートポリス)で開催された。ThreeBond Racingは、新体制での初ポイント獲得を目指してレースに挑んだ。

初ポイント獲得を目指してレースに挑んだ三宅選手 【ThreeBond Racing】

タイヤのグリップが不足した予選

阿蘇外輪山に位置するオートポリスは、アップダウンが激しいテクニカルコースで、国内でも有数のタイヤマネジメントが難しいサーキットである。鈴鹿サーキットで開催されたシリーズ開幕戦からほぼ2か月のインターバルを置いて開催されるレースに向け、チームは鈴鹿で得られた良い感触を更に伸ばそうとデータを解析して再セッティングを施したマシンで、フリー走行に出走した。
ところが土曜日午前にフリー走行セッションを走り出すと、マシンは全体的にタイヤのグリップが不足するという傾向があり、チームはピットインを繰り返してセッティングの修正を進めた。しかしセッティングを変更しても、タイヤのグリップが不足するという傾向は改善できず、午後の公式予選を迎えることとなった。
土曜日午後に行われた公式予選は、気温、路面温度が上昇すると共に、強い風が吹く難しいコンディションの中で行われた。Q1セッションB組の三宅選手は果敢に攻めた走りを披露しながらも、マシンはフリー走行に続きグリップが不足しており十分な走りができず、出走11台中11番手に終わり、日曜日に行われる決勝レースのスターティンググリッドは、最後尾21番手スタートとなった。

最後尾21番手スタートとなった三宅選手 【ThreeBond Racing】

決勝に向けチームミーティングを行う 【ThreeBond Racing】

フリー走行でタイヤバリアにクラッシュ、懸命にマシンを修復して臨んだ決勝

オートポリスは土曜日に引き続き、日曜日も好天に恵まれた。決勝レースに向けて操縦性を改善するために、チームはセッティングを見直し午前中のフリー走行へ送り出した。三宅選手は出走21台中4番手となるタイムを記録したが、30分間のセッションが終了する直前、3コーナーへの進入でリヤタイヤのグリップを失い、タイヤバリアに左フロントからクラッシュした。三宅選手自身は無事だったが、マシンは左フロントサスペンションからサイドポンツーンにかけて破損してしまった。
チームは午後の決勝レースに向け、懸命にマシンを修復、レース開始直前に作業を完了させ、三宅選手をレースへ送り出した。再セッティングの時間がほぼ無い状態で、クラッシュの原因の1つと推定されるグリップを確保できなかったリヤに合わせて、敢えてフロントのグリップを落とす形でバランスを取り、決勝レースのスタートに備えた。
決勝レースは午後2時50分にスタートが切られ、三宅選手はオープニングラップで前を行く選手をオーバーテイクし20番手にポジションを上げると、さらに順位を上げるべく、前の選手を追い続けたが順位を入れ替えるには至らず。13周を走ってタイヤ交換のためにピットインを行った。
新品のタイヤを装着した三宅選手は再び前の選手を追い、19周目に19番手にポジションを上げると、後続を引き離した。しかしセッティングの影響でタイヤ消耗が他のマシンよりも早く進んでしまった結果、18番手を走る選手との間隔を縮めることはできないままフィニッシュを迎えた。最終結果は上位でリタイアした選手がいたため、1つ繰り上がり17位だった。次回シリーズ第3戦は6月22日(土)~23日(日)、宮城県スポーツランドSUGOで開催される。

最後尾からの追い上げを狙う三宅選手 【ThreeBond Racing】

スタートでポジションを上げるが、その後はタイヤの摩耗に苦しむ 【ThreeBond Racing】

ドライバー:三宅淳詞 コメント

今回のオートポリスでは、標高が高い事でダウンフォースが出にくいというコース特性も踏まえてセッティングを見直して臨みました。しかし、走り出すと想定と異なった結果となり、良い感触を得ることができませんでした。少しでも改善するために、予選、フリー走行、決勝レースと、再セッティングを進めましたが、最後まで狙ったパフォーマンスを出せないレースウィークになってしまいました。日曜日午前のフリー走行でコースアウトしまったのは、強い追い風を受けてマシンのコントロールを失ってしまったからです。決勝レースへ出走するために、短い時間でクルマを直してくれたチームのスタッフに感謝しています。次のレースに向けてマシン全体のダウンフォースの改善が大きな課題となっているので、原因を見つけ改善し、第3戦に臨みます。

監督:道上龍 コメント

土曜日のフリー走行からチームが狙ったマシン特性が出ない状態でした。ドライバーからのフィードバックを元にフィーリングの悪い部分を改善しようと様々なセッティングを試してみました。しかし大きくセットアップを変更しても、マシンの特性があまり変化しない状況が最後まで続いてしまいました。どこに原因があるのかチーム全体で分析しておりますが、光明が見いだせていない状況です。根本的な問題を解決するには1つ1つ確かめながら改善することがベストですが、データの収集に割くことができる時間も限られていますので、取捨選択をしながら改善を進めていきたいと考えています。第3戦のスポーツランドSUGOは6月22日開催と既に1か月を切りました。第3戦に向けて、チーム一丸となってデータを分析し、対策を立てたいと考えています。

アドバイザー:塚越広大 コメント

日曜日の決勝レースを迎えるにあたり、チーム内でミーティングを重ね、様々なセッティングを試したものの、レースウィーク全体を通してベストな状態で走らせることができませんでした。上位でレースをするには、何か抜本的な対策が必要だと感じています。三宅選手が何に悩んでいるのか、私自身の経験からよく理解することができるので、様々な提案を行い、改善を試みましたが、想定した結果を出すことができませんでした。三宅選手はセンシティブなマシンを懸命にコントロールしていたので、マシンの状態を万全にできなかったことを非常に悔しく思います。

チーフエンジニア:新井凌 コメント

開幕戦の決勝ではマシンバランスに改善が見られたので、そのセッティングを元にクルマを仕上げて第2戦に持ち込みました。しかし、開幕戦と比較して若干の改善は見られたものの、全体的にグリップが足りないという根本的な問題は解決しておりませんでした。土曜日フリー走行から問題点を改善しようと様々なセッティングを試しましたが、良い結果が得られないまま予選と決勝レースを迎えてしまいました。日曜日午前のクラッシュも、クルマの悪い部分が出てリヤがスナップしてしまったことが原因の1つです。三宅選手にはコントロールが難しい状態のマシンを運転させてしまい、申し訳なく思っています。決勝レースではクラッシュの影響を最小限とするために、新しいセッティングで挑みましたが、結果としてタイヤの消耗が他のマシンと比べると激しくなってしまったためタイムが伸びず、上位進出は叶いませんでした。

次戦への課題はマシン全体のダウンフォースの改善 【ThreeBond Racing】

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著者プロフィール

SUPER FORMULAは国内最高峰で最速のフォーミュラレースシリーズです。レースに使用する車両やタイヤ・エンジンに性能の差が無い「イコールコンディション」のため、ドライバーの実力やチームの戦略が勝敗につながります。世界的に見てもF1に次ぐ速さをもち、F1に乗るために必要な「スーパーライセンス」が最短2年で取得が可能。それにより、世界の舞台で活躍している名だたるドライバーを輩出している、世界でも注目されているカテゴリーです。公式サイトでは、SUPER FORMULAに関する様々な情報をご紹介いたします。

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