データが示すフィッカデンティサッカー 己のスタイルで古巣・FC東京に挑む
数字に明確に表れた鳥栖の課題
標榜するサッカーができていようと、サポーターが本当に求めているものは勝利だ 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】
・相手よりもボールを保持している時間が長い。
・高い位置でのプレー回数が増えている。
・クロス数、クロスからのシュート数が増えている。
・高い位置でのボール奪取が増えている。
・相手の枠内シュート率が減っている。
・失点が減っている。
このようなサッカーを見せられて、これ以上、何を望むのだろうか。しかし、これだけの好材料を見せつけられても、何か腑に落ちないものをサポーターは感じているだろう。それは、「勝利を見ていないから」と一言で言い表すことができる。
15年シーズンは、第8節終了時点で4勝を挙げていた。しかし、今シーズンはわずか1勝(1試合未消化)。得点も11得点に対して5得点と激減している。これでは、標榜するサッカーができていても、サポーターは納得しないだろう。実際、それは顕著に入場者数に表れている。
開幕戦は、5年ぶりの九州ダービー(アビスパ福岡戦)とあって1万9762人がスタジアムを訪れた。ホーム戦5試合目となった第10節の湘南戦は来場者全員に記念ユニホームが配られたこともあって2万219人が駆け付けた。しかし、それ以外の3試合は1万人を切っているのが現状である。昨シーズンは1万人を切ったホーム戦は4試合のみであった。結果がそのまま入場者数につながるわけではないが、見ている人に「また来たい!」と思わせるような試合にはなっていないのかもしれない。
【スポーツナビ】
選手の能力を見極め、彼の推し進めるサッカーができる選手しか起用していないのだろう。しかし、サイドからのクロスも増えてシュートまでは持っていっても、その精度と結果には満足していないのだ。フィッカデンティはさらなる高みを目指し、それができる選手だけを起用し、結果を求めていると思われる。
15年シーズン途中にFW武藤嘉紀がFSVマインツ05(ドイツ)に移籍しなければ、FC東京は違う結果が得られていたのかもしれない。今の鳥栖に求められるのは、豊田をはじめ、池田圭、富山貴光、岡田翔平らの更なるクオリティーアップとフィッカデンティのサッカーで結果を出せるFWなのかもしれない。
5月13日(金)味の素スタジアムでは、フィッカデンティのサッカーを良く知るFC東京との戦いが待っている。おそらく、鳥栖の戦い方は変わらない。ならば、個々の選手のアイデアを加えるしかない。手の内を知られていても行うサッカーは変わらないのだから、クオリティーが上がるまでは何かしらのアイデアを加えるしかない。ピッチで戦うのは選手たちである。サポーターは、どの試合でも勝利を待ち望んでいる。
(文:サカクラゲン)