やっぱり強い!?ソフトバンクの4月を採点 鷹詞2016〜たかことば〜

田尻耕太郎

ポスト城島に23歳の斐紹が名乗り

ポスト城島として開幕マスクに抜擢された斐紹。和田の完封をアシストするなど正捕手奪取へ日々奮闘を見せている 【写真は共同】

【正捕手育成 65点】

 城島健司がチームを去って以来ソフトバンクには確固たる正捕手がいないまま、気づけば10年以上が過ぎた。

 そんな中、今年の開幕戦でマスクを任されたのは23歳の斐紹だった。2010年ドラフト1位で入団するも昨年まで1軍通算出場23試合と伸び悩んでいたが、工藤監督は思い切って抜擢。その後も攝津、和田という経験豊富な先発投手がマウンドに上がる試合限定で、先発マスクを被っている。かつて工藤“投手”がダイエー時代に入団したばかりの城島を育て上げたのとよく似た図式だ。

 じつに斐紹の“初勝利”まで先発6試合もかかってしまった。スタートダッシュ失敗の一因としても取り上げられたが、それでもベンチは我慢して使い続けた。その後の和田の完封勝利も、斐紹がリードした。
「誰もが通る道。どんなことだって、急に上手くなることはない。そうやって這い上がることが彼の成長につながる」(工藤監督)。

理想の打線は長谷川の復調がカギ

李大浩が抜けた攻撃陣が課題とされていたソフトバンク。昨季2軍の三冠王カニザレスが結果を残せなかったが、長谷川のバットが復調気配。首脳陣は長谷川を5番、松田を6番に据える打線を理想としている 【写真は共同】

【李大浩の抜けた打撃陣 45点】

 打撃陣で昨年までとの大きな変化といえば、李大浩がいなくなったこと。昨年は主に5番打者で141試合、打率2割8分2厘、31本塁打、98打点を挙げた大砲が、シアトル・マリナーズに移籍した。

 決して小さくない穴だが、現有戦力でまかなうことに。開幕当初はカニザレスが起用されたが打率1割台と低迷して2軍落ち。来日3年目でようやく巡ってきたチャンスをふいにしてしまった。

 チームの状態が上向いてからは打順が固定され、松田宣浩が5番に座る。しかし、チーム首脳陣としては5番に長谷川勇也を据えて、松田には去年同様6番を打たせたい意向だ。「3番の柳田から内川、長谷川、松田、中村晃と左右ジグザグにしたい」(藤井康雄打撃コーチ)。

 なかなか調子が上がらなかった長谷川だが、24日の北海道日本ハム戦(ヤフオクドーム)で1号本塁打を放ち今季初打点を挙げると、移動日を挟んだ26日のオリックス戦(京セラドーム)でも一発を含む4打点と急激に復調している。

 打線全体を見れば、内川聖一が開幕から好調をキープしているのが大きい。ソフトバンク打線の本格化はこれからだ。

異常な警戒を受ける柳田の爆発に期待

日本人初となる夢の「40本塁打・40盗塁」を目標に今シーズンへ臨んだ柳田。ここまでの結果は今ひとつも、18試合連続四球など、相手投手から異常に警戒されている 【写真は共同】

【夢の40・40 25点】

 柳田悠岐が目指す日本プロ野球界初の「40本塁打・40盗塁」の偉業。しかし、現時点では2本塁打、3盗塁と寂しいスタートになった。

 異常なほど警戒されている。その証拠が18試合連続四球。あの王貞治氏に並ぶ日本記録だ。
「シーズンが始まったばかりでこんな攻め方、本来はないよ。短期決戦やシーズンの後半ならば、その年に結果を残している打者に対して『四球でOK』という場合もあるけどね。それだけ一流という証」(工藤監督)

 その一方で指揮官はこう話す。
「こんな攻め方は1年間ずっとは続かない」

 もうしばらくは辛抱。柳田の思いが爆発する時が必ず来るはずだ。

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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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