知念雄、ラグビー歴2年で日本代表に 原石を輝かせた「幸せな関係」

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日本代表「選ばれた人間として、しっかり責任を果たす」

アジア選手権に向けて「選ばれた人間として、しっかり責任を果たす」と語る 【赤坂直人】

 大学院を卒業し、東芝に入社してから、知念の快進撃が始まった。夏の練習試合やトップリーグのプレシーズンマッチでは、スクラムトライを奪えるほどPRとして機能。W杯が終わり、同じポジションの三上正貴が日本代表から戻ってくると、控えとなったが、シーズン終盤には左PRだけではなく、右PRでも試合に出場し、ポテンシャルの高さを発揮した。

 3月にはジュニア・ジャパンの一員としてフィジーで行われたパシフィック・チャレンジに参加。「初めてサモアやフィジーとスクラムを組みましたが、あまりにバラバラで驚きました(笑)。彼らは手足が長くてタックルに入ってもボールを生かされてしまうので、タイミングや入り方を工夫して……。すごく良い経験になりましたね」

 そして、W杯組はいないが、日本代表に選出。30日の韓国戦からアジア選手権を戦う。韓国には昨年のエディージャパンも56対30と苦戦している。

「韓国はトップリーグで戦っている選手も多いですし、強いと思います。でも、僕らが日本代表なので、準備期間が短いとか、選手がいないというのは関係ありません。選ばれた人間として、しっかり責任を果たします」

チームメイトの魅力を語りだすと止まらないことも

周囲への感謝の気持ちを忘れず、驚くべきスピードで成長している 【赤坂直人】

 去年の夏から知念を取材していて、毎回共通することがある。それはチームメイト、スタッフへの思いを言葉にすることだ。

「この部分は湯原(祐希)さんがすごく丁寧に教えてくれたんです」
「サモアやフィジーの選手は大きくて重かったですけど、当たったら梶川(喬介)さんの方が痛いなって小瀧(尚弘)と話していました」
「スクラムの相手をしてくれるBチームが本当に強いんです。『なんで知念が出るんだ』って文句が出てもいいのに、みんな細かく教えてくれるんです」

 ある時はBチームのメンバーの魅力を一人ずつ語って止まらないこともあった。

「東芝でも、今回の日本代表でも、1秒でも長く試合に出たい」

 まっすぐに、ハードワークをする選手が愛される東芝。かつて、全国的に無名だった冨岡鉄平(現・東芝HC)は主将として東芝の黄金期を築き、地方の大学でラグビーを始めた大野均は日本代表最多キャップ保持者(96)となった。

 常に向上心を持ち、周囲への感謝を忘れない男と、自身が不利な状況にあっても惜しみなくライバルの成長をサポートしつつ、切磋琢磨するチームメイト。原石を輝かせるために最適で、幸せな関係がそこにあった。

 知念雄、25歳。無限の可能性を持つ大器が、日本代表のジャージに袖を通す瞬間が、近づいている。
「19年、23年のワールドカップに出られるように、東芝でも、今回の日本代表でも、1秒でも長く試合に出たいです。ラグビー歴が短くてもグラウンドでは関係ありません。与えられたポジションで、チームメイトに認められるプレーをしたいと思います」

(取材・文:安実剛士/スポーツナビ)

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