「誰にも超えられない記録を出したい」 桐生祥秀、手記で明かす充実の米国遠征
またブロメル選手と練習したい
日本と比べると、練習時間が短かったというのが率直な感想です。日本では何時間練習してもいいですが、米国では練習時間のルールで決まっているので、グダグダできません。アップも日本より全然少ないですし、日本ではグラウンドで2時間ほど練習していますが、ベイラー大ではその半分の1時間くらいでした。ダッシュをやるにも、どれだけアップが少なくてもみんな仕上げてきますし、速い選手とやると質も全然違いました。
(ブロメルのコーチで、米国で桐生を指導した)マイケル・フォードコーチには、スタートの時に「もっと思いっきり行け」というか、「考えずに大きい動きで行け」という感じのアドバイスをもらいました。僕もそれができたら理想だと思っていたので、その通りだと思いました。
食事には苦労した。現地で炊飯器を購入し、炊いた米をお店に持ち込むことも。左は同じくグロチャレで派遣された東洋大のチームメート、ウォルシュ・ジュリアン 【写真提供:桐生祥秀】
今後は、スタートも中盤もまだまだ完璧ではないので、どこがというよりは、まずは全部やらないといけないと思っています。米国で初戦を向かえていろいろできたので、日本に帰って気持ちが1回リラックスした後も、この後のレース1本1本、しっかり集中してやりたいです。
今シーズンは五輪が一番大事なので、そこで活躍することが最大の目標です。タイムで言うと、今は世界に何人も9秒台がいて珍しいことではないので、ただ日本記録を出すだけでなく、誰にも超えられないような記録を出したいです。
プロフィール
1995年12月15日生まれ。洛南高2年時に次々と世代記録を塗り替え、3年時の4月には100メートルで日本歴代2位となる10秒01をマークする。同年夏には世界選手権に初出場を果たす。翌年、東洋大に進学し、同年夏の世界ジュニアで銅メダルを獲得。日本短距離界をけん引する1人として注目を集めている。