高校野球は“ジュンケツ”も面白い! 投の平安vs.智弁、打の秀岳館vs.高松商

楊順行

「3年で日本一」を狙う鍛冶舎監督

「3年で日本一」を掲げて秀岳館に就任した鍛冶舎監督。準々決勝の木更津総合戦ではサヨナラ勝ちを収めるなど選手は一戦一戦大きく成長している 【写真は共同】

 対してもう一方、秀岳館高と高松商高の対戦はおそらく、リング中央で足を止めたような打ち合いになる。アマ球界の大物で、高校野球中継の解説も長く務めた鍛治舎巧監督率いる秀岳館高は、初戦は花咲徳栄高の好投手・高橋昂也を攻略し、2回戦では18安打3本塁打の猛攻で16得点、準々決勝は木更津総合高に9回、しぶとく逆転サヨナラ勝ちだ。

 熊本県勢としては07年熊本工高以来のベスト4で、
「覚えています。藤村(大介、現巨人)君らがいたときで、ちょうどテレビの解説をしていましたから(笑)。ここまで逆転、大勝、サヨナラといろんなパターンの試合ができました。チームカラーをいっぱい持っていますが、次の試合はどんなカラーになるでしょうね」。

 14年に就任し、公言した「3年で日本一」という野望に向けて、鍛治舎監督の名調子が続くか。

優勝監督も驚く高松商打線のスイング

力強いスイングを武器に、3試合でチーム打率3割8分7厘、29得点と強打の高松商。秀岳館とはノーガードの打ち合いが予想されるが…。 【写真は共同】

 対する高松商高・長尾健司監督も、監督就任は鍛治舎監督と同じ14年。昨秋の神宮大会では、敦賀気比高の好投手・山崎颯一郎を終盤に攻略し、逆転優勝している。「とにかく強く振る」ことを徹底したスイングスピードは圧巻で、海星高との準々決勝では、大会記録に迫る22安打を放ち、17得点と圧倒的な攻撃力を見せつけた。

 ある新聞報道によると、同じ公立の清峰高を率い、09年に優勝した吉田洸二監督(現山梨学院大付高)は大会前、高松商打線について「強豪でも上位のレベル。映像を見て目を丸くした」と語っており、さらに安西翼らの俊足選手、長打を打てる選手を交互に並べるから、得点力は倍加する。

 やはり好投手・創志学園高の高田萌生を打ち崩した2回戦まで、その安西は無安打とカヤの外だったが、準々決勝では3安打と復調気配。「キーマンの安西の復調はでかい」とは、投打の二刀流で存在感を見せる美濃晃成だ。準々決勝では植田響介がアーチを架け、一足先に創志学園高戦で打った弟・理久都との、兄弟本塁打を達成している。3試合で24得点、打率3割2分7厘の秀岳館高と、29得点、打率3割8分5厘の高松商高。どちらも絶対的な投手がいないだけに、ノーガードの打ち合いは必至なのだ。

 つまり、準決勝2試合の予想は、投手戦と打撃戦。ジュンジュンに劣らず、ジュンケツも面白いぞ。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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