今年も「4番で主将」内川聖一の決意 鷹詞〜たかことば〜

田尻耕太郎

左肩違和感も指揮官の信頼は変わらず

今季から一塁での起用が増加するとみられるが、慣れない守備にもポジティブにとらえている 【写真は共同】

 今年の内川は、自然体でやっているように映る。「去年もこんな気持ちでやれれば良かったんですけどね」と舌も滑らかに、思わず笑みもこぼれる。

「たとえばマッチ(松田宣浩)がベンチで大きな声を出して盛り上げてくれたり、ホークスの選手たちはみんな自分が何をするべきか自覚をしています。キャプテンだからといって、オレが、オレが、と力まなくてもいいのかなと思えるようになりました」

 とはいえ平穏無事に今シーズンを迎えられるほどプロの世界、そして常勝ホークスは甘くない。

 昨年まで主にレフトを守っていたが、李大浩の退団によって守備陣が再編され、内川は一塁も兼任することになった。昨季も試合途中から守ることはあったが、本格的に一塁を守るとなれば横浜時代までさかのぼる。08年には一塁手として119試合に出場。ちなみにこの年は打率3割7分8厘で自身初の首位打者に輝いている。

「やっぱり緊張感がありますね。慣れたと聞かれますが、ずっと変わらないでしょうね(笑)。それにボクは慣れない方がいいと思っています。緊張している方が集中力も増す。そうじゃないと大きなミスや怪我につながりかねないですから」

 今季は「4番・一塁」で出場する機会が多くなりそうだ。

 ところが、3月13日、左肩に違和感を訴えてチームを離脱した。球団トレーナーは軽症を強調しているが、具体的な復帰メドは見えておらず、このままぶっつけ本番でシーズン開幕を迎えることも考えられる。

 だが、工藤監督は「彼はウチの中心選手で4番打者。僕の中では1年間は長いわけだし、(試合に出られる状態で開幕を迎えられれば)普通に打席に立ってもらおうと思っていますよ」と明言。調整不足を不安視する声に対しても「無理をしてプレーすることで(状態も)おかしくなることがある。休んだ方がいい場合もあるんだよ」と軽くかわした。

 不変の信頼関係で結ばれた指揮官と4番キャプテン。このような気配り一つをとっても、やはり工藤ホークスは、すきがない。

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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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