DDTプロレス・高木三四郎社長「今の規模感を落としちゃいけない」

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飲食店やストレッチ専門店で興行をカバー

興行は09年以降、利益が伸びている。ただ、それをカバーするために飲食店、ストレッチ店などの別業態も取り入れている 【スポーツナビ】

――選手数を増やすということは、団体を始めた当初から重要視していたのでしょうか?

 そりゃそうですね。結局、DDTだけだと、選手は1年間に2人ぐらいしかデビューさせられない。あまりたくさんデビューさせてしまうと、今度は試合で使えない。そういう状況になったので、新人だけの大会となる「DNA」を作りました。そうやって分けたことで、優れている人間を効果的にいっぺんにデビューさせられるので良かったですね。ドラゴンゲートさんは前からやっていましたし、新日本さんも始めていますが、僕らも割と早い段階で始めていました。やはり、そういうものをやっていかないとだめだと思いますね。

――門戸を広げて人を集めたと同時に、多くの選手がデビューできるシステムを作られたと。DNAも含め、興行の営業というのは、どのような管轄でやっているのですか?

 それは別々です。DNAはDDTのプロジェクトなので、同じスタッフでやっていますが、ほかのブランドは完全に別ですね。やはりそれを分けないと、団体の色が出ちゃうじゃないですか? DDTという団体の色が濃く出てしまうと、それは個性がなくなりますからね。

――興行を別々に管理されているという話ですが、それぞれの興行で利益は出ているのでしょうか?

 そうですね。今は割と利益が出ています。

――今までも利益は出ていたのでしょうか?

 今のところはおかげさまで出ています。2008年にリーマンショックの影響で落ち込んだ時期もありましたが、それ以降は緩やかに右肩上がりです。

――団体としての収益は、どのようなバランスになっていますか?

 興行が大半ですね。グッズ収益も増えてきていますし、スポンサーの広告収益は一部という感じです。

――基本は興行収益で成り立っていると?

 そうですね。

――今後、会社として利益を伸ばす上で、どのあたりが重要となりますか?

 興行だけだと、不安定ですよね。(観客動員は)何かの法則に基づいて、毎回この売り上げが出ているわけではありません。今のところはお客さんも来場いただき、これだけのペースで興行を開催できていますが、今後(動員が)絶対に落ちることもあるだろうなと思います。そうなった時に、ほかでカバーできるように、他の業態でカバーできるようにしたい、参入したいのはあります。

 今は飲食店経営もしていますし、ストレッチ専門店の「ベストストレッチ」は、今度3店舗目もできる予定です。そういうところに力を入れてやりたいなと思います。今ちょっと考えているのが、パーソナル専門のジムを夏前ぐらいに、やりたいなと思っています。そういうのを含め、手広く展開していきたいなと思っています。

ファンと一緒に育て上げてきたことが良かった

今では多くの所属選手をそろえ、大箱での大会を開催できるようになった。その成長をファンと一緒に歩んできたことが、人気の理由の1つでもある 【横田修平】

――元々、DDTは『インディー団体』というイメージがありましたが、インディーだったからこそ会社経営に有利に働いた部分などはありますか?

 まあ自由度は、やっぱり高かったですね。なんというか、プロレスだから、あれをしちゃいけない、これをしちゃいけないというのはなく、リングに上がった以上は、リングに上がって戦っている以上は、魅せるのがプロレスだという考えの元、いろいろな表現方法、いろいろなもので見せてきたというのはありますし、そういった意味では、最初から伝統も格式もある団体だったら、とてもじゃないけど、冒険はできなかったと思います。

 あと一番大きかったのは、下から上がってきたということですね。100人、200人の会場から、上がってきたのが一番大きいです。これって最初から数十年の歴史があって、「昔は1万人規模の会場でやっていたんだよね、だけど今は……」というのよりは、下から上がってきた方が、(ファンと)ともに上がってきている感動を共有できるじゃないですか?

――元々ある団体から別れてできたわけでなく、新しい団体として成長してきたことが良かったと?

 そうですね。本当に100人ぐらいの団体でしたからね。最初は250人ぐらい集まる北沢タウンホールでやっていて、(観客が)100人ぐらいしか入らなかったですから。チケット代も3000円と安かったので、そうすると、30万の売り上げで、会場費やリング代を差し引くと、選手に払えるお金が12、3万円。これを20人の選手で割っていたんですよ。だから僕なんかもギャランティーをもらわなかったですからね。最初の何年間かは。でも好きだったからこそやってこれたし、そこから上がっていくというスタンスが良かったです。

 だから今後我々が気を付けないといけないのは、今のDDTの規模感を落としちゃいけないということ。この水準をキープしないといけないですね。

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