選手を支える側から見た箱根駅伝 青学大陸上部・女子マネ日記(4)

構成:スポーツナビ

1月3日(日)「笑顔の完全優勝」 

往路のメンバーもそろい、レースに向かう復路の選手を送り出す 【提供:青山学院大学】

 前日に往路を走ったメンバーも、朝から復路の出発時にはお見送りを行いました。その後は各区間へ応援に行き、最後はゴールでアンカー・渡邉利典の到着を待ちました。往路組からパワーをもらった復路組も7区小椋裕介、8区下田裕太、10区渡邉利典が区間賞を獲得し、往路の勢いをそのままに復路優勝。そして、10時間53分25秒で総合優勝を勝ち取りました。多くの方々の支えによって39年ぶりの完全優勝を果たすことができ、1年間選手たちがやってきたことは間違いではなかったと証明されました。

ともに快走した一色(右)と秋山。入学時から活躍が期待されてきた2人が往路でたすきをつないだ 【提供:青山学院大学】

 私たち個人としては、同級生の一色、秋山の3年生コンビのたすき渡し、活躍はとてもうれしかったです。写真は入学式の時のものなので、2人とも若いですね(笑)。

 箱根駅伝後には慰労会が行われました。みんなとてもいい笑顔で会場へと入ってきました。たくさんの関係者の方々に「おめでとう」と言っていただき、とてもうれしかったです。それと同時に「来年も頑張ってね」という言葉もかけていただき、自分たちが4年生の時にもまた「おめでとう」という言葉をかけていただけるように頑張ろうと思いました。

1月4日(月)「ささやかなご褒美」

 箱根駅伝・完全優勝の喜びから一夜明けたこの日、監督・選手・主務は早朝からテレビ出演の予定が詰まっていました。心なしか眠そうな人もちらほら……(笑)。しかしインタビューに対して、はっきりと自分の思いや感じたことを話している姿は、箱根路を駆けた雄姿そのものでした。青山学院大学らしい明るさも健在。秋山が番組内でPerfumeの「レーザービーム」を踊ったときは、監督を含めその場の全員が爆笑していました。

来年も笑顔でこの舞台に立つために、チームは厳しい練習や努力を続けていく 【写真は共同】

 青山学院大学は昨年優勝を飾った後も多くのテレビに出演しました。しかしそれはただ目立ちたいわけではありません。常に明るく元気に振る舞っていても、根底には厳しい練習、泥臭い努力があるというのが大前提です。その地味で地道な努力が実を結び、初めて輝かしい舞台に立てることを忘れてはなりません。野球やサッカーなどの球技に比べてまだまだ競技人口が少なく、地味な印象を受けやすい陸上競技。しかし1年に1度、多くの人に注目され応援される箱根駅伝。それは363日ひたむきに頑張り続けた選手に与えられるささやかなご褒美なのかもしれません。

 最後になりましたが、約3週間にわたりこのような手記を書かせていただき、ありがとうございました。これを読んでくださった方が少しでも青山学院大学の陸上部を、そして箱根駅伝を身近に感じてくださったら光栄です。最後に優勝の喜びをつづることができたのも大変うれしく思っています。私たちを支えてくださる多くの方への感謝の気持ちを忘れず、結果を残し感動を共有することで恩返しをしていきます。

<了>

プロフィール

福島 采
経済学部3年 熊本県立玉名高校出身
陸上経験はないが、初めて練習見学へ行き選手の走りを生で見てその迫力と雰囲気を感じた時、自分も一緒に戦いたいと思いマネージャーになることを決意。自分にしかできない形でチームを支えていきたい。

脇田 のどか
文学部3年生 神奈川県立多摩高校出身
中学1年生から6年間、競技者として長距離をやっていた。高校3年生の関東駅伝を最後に引退。悔いなく競技人生を終えることができたが、やはり今後も何かの形で陸上競技に携わりたいと考えマネージャーになることを決意。特に高校時代、多くの人に支えられ競技を続けてこられたことを感じ、今度は自分が支える側に立ちたいと思った。

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