箱根駅伝“3強”の明暗を分けたのは? 青学大にV2引き寄せた“陰のMVP”
“想定以上”だった青学大・秋山の好走
一色(左)からたすきを受けた秋山は、初の箱根駅伝で地力を発揮 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
服部弾は1時間03分37秒で区間3位と、不完全燃焼に終わった。3区で予想外の展開になったことが、4区のルーキー・小笹椋の走りにも影響を及ぼした。絶好調の5区・五郎谷俊に接戦で渡すプランは崩れ、五郎谷に渡ったときには2分28秒差。五郎谷が1時間19分台で走り切り、青山学院大の5区・神野大地に36秒しか負けなかっただけに、3区の誤算が惜しまれる。
駒澤大は、2区の工藤が区間4位の走りで6位に浮上。3区の中谷は秋山を上回るペースで飛ばしたが、後半に失速。一度は追いついた山梨学院大に抜き返され、4位で初出場の4区・高本真樹へ。中谷は1時間02分53秒で区間2位と決して悪くなかったが、箱根駅伝では3年目にして初めて区間賞を逃した。出遅れを取り返そうという覚悟が、気負いにつながったのだろう。
駅伝のセオリー通り、先手必勝に出た青山学院大と、3区に懸けた東洋大と駒澤大。秋山の走りが、原監督、そしてライバル校陣営の想定以上だったこと。選手層の差や、主要区間を任せられる主軸の数の差もあるが、序盤の戦略の違いが勝敗を分けた。
一強時代を阻止する大学は?
東洋大はエース・服部勇(写真)らが卒業。下級生の頑張りが求められる 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
追う一番手の東洋大は、服部勇ら箱根を走った5人が卒業。現況では青山学院大に勝つのは厳しいが、現2・3年生の頑張りが昨年11月の全日本大学駅伝初優勝を引き寄せたことは間違いない。流れ次第では、面白い戦いができそうだ。
駒澤大は育成のシーズンだった今季を経て、中谷らが最終学年を迎える新年度に勝負する。このほか、駒が豊富な早稲田大、今春に高校トップクラスの選手がこぞって入学する東海大と、箱根駅伝4・5位の2校が“3強崩し”に挑む。
青山学院大の黄金時代到来か、一強時代を阻止する大学が出てくるのか――新たな戦いは早くも始まっている。