若年層が強くなるために――東京五輪を見据えたボクシング界の育成
日本のニューウェーブだった井上尚弥
昨年12月に世界最速でのプロボクシング2階級制覇王者となった井上尚弥も小中学生から実戦経験を積んだ一人 【写真は共同】
井上は言った。
「自分の小中学校時代は、今ほど育成システムが確立されていなかった。試合に恵まれた次の世代はもっと世界で勝てるようになる」
仮に井上が東京五輪を目指していれば、堂々の金メダリスト候補になっていたのは間違いない。
強くなるために良く学び、よく遊べ
井上尚弥と同学年で記録争いをしていた拓大・藤田。強くなるためには「技術を盗む意識や創意工夫が必要」と語ってくれた 【善理俊哉】
では今、抜群になるためには何をすべきか。東京五輪のヒーローをどう育てるべきか。井上尚弥と同学年で記録争いをしていた藤田健児(拓殖大学4年)は、世界のトップを意識する上で、こんな持論を口にした。
「日本の成績はロシアやキューバ、カザフスタンより圧倒的に劣るわけですから、技術を盗む意識や創意工夫が必要だと思いますね。人より早くボクシングを始めても、同じ動きの完成度ばかり高めていたら、“ボクシングが大学1年から4年まで変わらなかったね”って言われると思います」
大人になっても人間は、よく学び、よく遊べということだろうか。