筋トレしたくなる映画の決定版 『クリード』でロッキー魂が再び燃え上がる!

しべ超二

生卵、肉打ち……なつかしのトレーニングシーンも満載

【(C)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.】

 ロッキーとアドニスは師弟関係を結んでいきますが、その様は西のスタローンに対し“アクション映画東の雄”であるジャッキー・チェンの『拳』シリーズを思わせたりもします。人は様々な人間関係に身を置くことで学び成長していくものですが、アドニスはもちろんロッキー自身の心境の変化も、人間臭い過去作と同様、見どころとなっています。

 そしてスポーツを扱う映画において決戦同様作品の中核を担うのが、そこへ向けての特訓シーン。『ロッキー』シリーズでは生卵を飲み干しての早朝ロードワークに始まり、スタ者なら一度は憧れる工場での肉打ち、アポロとの波打ち際疾走、そして「器具を使ったトレーニングはダメだ」とカール・ゴッチイズムを訴えるようでもあったドラゴと対比させてのシーンであったり、パッと浮かぶだけでも印象的な場面が多々あります。ロッキーはかつて自身が行ったトレーニングをアドニスに踏襲させるため、オールドファンにはたまらない、“思い出リフレイン”な作りともなっているのです。

 最愛の妻エイドリアンもすでに『ファイナル』で去っており、忍び寄る老いと向き合わざるをえないロッキー。かつては肉体ぶりが過ぎ演技力を揶揄されることもあったスタローンですが、今ではロッキーを40年貫いたことで人生の重みを醸し、枯れたいい味を出しています。

人生に対する気力までも上げてくれる

【(C)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.】

『クリード チャンプを継ぐ男』はボクシングを題材にしたアクション・スポーツ映画でありつつ、ロッキーとアドニスという師弟、同時に親子のようであり、ともに戦う仲間である2人を描いた人間ドラマでもあります。ここが非常に大事な点で、そうであるからこそスポーツ映画の域を超え、長く現在も世界中の人たちの心を掴んで離さない人気シリーズであるのでしょう。

 過去の名場面はもちろん、名言もロッキー自身により再現されることで、かつての感動やそこで抱いた様々な思いも蘇り、気難しそうなマスコミが揃った試写室でもすすり泣きが多発。シリーズに満ちていた、人生に対する気力までも上げてくれる力は全く衰えておりません。

 2015年末、ロッキーの魂が再び燃え上がる!

『クリード チャンプを継ぐ男』


映画『クリード チャンプを継ぐ男』予告編【HD】2015年12月23日公開 −YouTube

12月23日(祝・水)、新宿ピカデリー・丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

出演:
シルベスター・スタローン
マイケル・B・ジョーダン(『フルートベール駅で』)

スタッフ:
監督・脚本:ライアン・クーグラー(『フルートベール駅で』)

配給:
ワーナー・ブラザース映画

ストーリー:
愛する妻や仲間に先立たれ、孤独な日々を送るロッキーの前に突然現れた黒人の若者アドニス。彼はライバルであり、親友だった亡きアポロの息子だった。その純粋なまなざしとボクシングへの情熱に、アポロの面影を見たロッキーは、持てる技術のすべてを彼に託し、ともにチャンピオンへの道を歩き始めるのだが――
親の七光りとあざ笑われても、リングに叩き付けられても、アドニスは絶対に夢をあきらめない。たぎる血の中には父親アポロが、後ろにはロッキーがいる。どんな強敵を前にしても一歩も引かず、二人のチャンプに支えられ共に戦うのだ。果たして、絶対的に不利なアドニスは奇跡を起こすことができるのか!?

 (C)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

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著者プロフィール

映画ライター。ペンネームは『シベリア超特急2』に由来し、生前マイク水野監督に「どんどんやってください」と認可されたため一応公認。日本のキング・オブ・カルト、石井輝男監督にも少しだけ師事。プロフィール画は芸人ネゴシックスの手によるもの。

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