高田本部長が語る「RIZIN」への期待 「世界に通用するイベントに」
8年のブランクを経て再び統括本部長に
PRIDEの消滅から8年、再び格闘技界に熱を呼び覚ますため、高田延彦統括本部長が動き出す 【スポーツナビ】
このイベントで統括本部長を務めることになったのが、『PRIDE』創始者のひとりである高田延彦氏。1997年10月の「PRIDE.1」では、ヒクソン・グレイシーと対戦し、そこから日本の総合格闘技の礎を築いた。
2003年からPRIDE統括本部長として活動し、中継の解説だけではなく、開会宣言のパフォーマンスなどでも話題を呼び、2007年の大晦日に行われた「やれんのか!」においても、統括本部長の役割を全うしている。
そして再び、『RIZIN』の統括本部長として格闘技界に戻ってきたが、この話が具体的になったのが昨年の11月だったと言う。
「榊原(信行実行委員長)さんとは、会うたびに『やろう』という意志確認はしていた。チャンスと感じたらアクションすると。昨年の11月に呼び出された時に、『時は来た』と。(統括本部長を務めることに)迷いはなかった」
事実上、『PRIDE』が消滅してからの8年間、高田統括本部長が感じていたのが“PRIDEロス”。格闘技界から離れていたので「全然、アンテナを張っていなかった。」と話す。それでも『RIZIN』として再び動き出したことで、格闘界への興味がどんどんと甦ってきており、「選手たちが戦いの中で、どんな芸術を見せてくれるか、楽しみにしている」と新イベントに期待している。
トーナメントへの期待
RIZINの中軸となる8人トーナメント。「この名も無きファイターたちの戦いから、新しい渦が巻き起こる事を強く願っている」 【スポーツナビ】
29日は8年前に止まった『PRIDE』の時計を一度だけ動かし、過去のイベントへの“レクイエム”として、時代の幕引きを正式に行うことになる。そして31日の大会では新しい時代の幕開けとして、同じ会場ながら、新しいムーブメントを作り出す大会へと生まれ変わる。
このイベントにおいて、高田統括本部長が未来への“鍵”として挙げるのが「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND−PRIXトーナメント」。世界各国の団体から送り出された8人のトップファイターが、29日に1回戦、31日に準決勝、決勝と戦い、チャンピオンを決める熱い戦いが繰り広げられることになる。
「ここには、日本で無名ながらも若くて強いファイターたちがラインナップしている。彼らがどんな試合をするのか、どんな結末を迎えるのか、それが『RIZIN』の鍵になる。もちろん、そこに盛り上がりが確約されているわけでもないが、この名も無きファイターたちの戦いから、新しい渦が巻き起こる事を強く願っている」
過去には“ビースト”ボブ・サップが鮮烈なデビュー戦で、ファンの度肝を抜いたように、新たなスターの誕生に期待している。
「試合は生ものだからどんなものになるか分からない。それこそ(エメリヤーエンコ・)ヒョードルやヴァンダレイ(・シウバ)、ミルコ(・クロコップ)だって、初めて日本に来た時は無名の選手だった。そこからブレークしていったのも事実。今回のトーナメントも同様です。この一発勝負で己の人生を変える。一躍スターファイターになれる大舞台なんだとファイターたちは高いモチベーションで臨んでくるでしょう。一体誰が大化けするのか非常に楽しみです」
「アーセンvs.クロン」は格闘技界の未来
アーセンvs.クロンは「山本一族vs.グレイシー一族」の戦いでもあり、“格闘技界の未来”を担う戦いでもある 【長谷川亮】
山本アーセンは、ミュンヘン五輪レスリング日本代表の山本郁榮を祖父に持ち、母は元世界チャンピオンの山本美憂、叔父は総合格闘家の山本“KID”徳郁という一家の中で育ったサラブレッド。さらに対戦相手のクロン・グレイシーも“グレイシー柔術”として最強の名を誇ったブラジリアン柔術一家にあり、その中でも最強と呼ばれたヒクソン・グレイシーの息子。「山本一族vs.グレイシー一族」という構図であるとともに、若い2人の戦いには“格闘技界の未来”を担う戦いでもあると話す。
「(2人の対戦は)家族の誇りを背負っての戦いとなるが、この試合がその第1章。この後にアーセンが五輪に出場したり、クロンが格闘家として充実期を迎えてゆく中で、2年後、5年後、10年後に、第2章、第3章と2人の戦いが展開していくと面白い。それが『RIZIN』の歴史にも重なっていくでしょう」
アーセンが19歳、クロンが27歳と、格闘家としてはこの先10年は進化成長していける2人。その成長とともに相見えることで、格闘界の未来を担っていくことになる。そしてその第1章が今回の初対戦となるのだから、注目度は高くなるだろう。