ヤクルト、チーム力向上のカギは? 「つばめ改革」進める秋季キャンプに迫る

週刊ベースボールONLINE

白熱する1番打者のレギュラー争い

秋季キャンプ初日、長距離走を行うヤクルトナイン 【写真は共同】

 野手陣にも求めることは「個々のレベルアップ」だ。秋季キャンプでは午後は個人練習に充てられ、大引啓次や上田剛史は打撃練習に時間を割くなど自身の課題と向き合う。

 2番に首位打者と最多安打のタイトルを獲得した川端慎吾を据えた打線は機能し、本塁打王の山田哲人、打点王の畠山和洋と続く最強トリオを生み出した。一方で、山田が中軸に座ってからは1番打者を固定することができなかった。後半戦開幕からリードオフマンを任されながら定着できなかった比屋根渉は「スイングが遅いので、とにかく振ること」と素振りに励む。

 ポストシーズンでは一番に座り勝負強さを見せた上田は、シーズンは故障に苦しんだだけに「ケガをしない体づくりと、簡単に三振しない打撃をより自分のものにすること」と感覚維持に務める。真中監督が「誰もレギュラーを取りきれなかった。自分が取る気持ちで取り組んでほしい」と話した「強化ポイント」の外野。オリックスを自由契約となった坂口智隆を獲得するなど、レギュラー争いは白熱しそうだ。

欠かせない雄平の再生

 もう一人、指揮官が気に掛けるのが雄平の存在だ。昨季141試合に出場し、打率3割1分6厘、23本塁打、90打点で初のベストナイン獲得と大ブレークしたが、今季は同2割7分、8本塁打、60打点に止まった。チームのさらなる上昇には、この男の爆発は欠かせない。

 秋季キャンプ初日には「自分の精神状態を把握したらもっとうまく試合に入っていける。難しいが、冷静になったときは絶対にいい結果が出る」とメンタル面のアドバイスを送った。結果にとらわれない秋だけに、さらに一皮むけることを望む。

「つばめ改革」をスローガンに掲げた就任1年目。選手の意識は着実に進化を遂げた。1点を取られても切り替えて、最少失点に抑える気持ちは浸透。勝てる試合を落としていた昨季と比べ、粘り強い戦いが目立った。走塁面でも、2月の春季キャンプで「走塁」のメニューを組み込んだ成果は実り、一つ先の塁を狙う意識が見られた。それでもまだ、改革は道半ばだ。今季、大混戦だったセ・リーグを、来季は王者として迎える。各球団の挑戦をはね返す力をつけなくてはならない。

「やることはたくさんあります」

 そう言って表情を引き締める指揮官に導かれる真中ヤクルトの2年目は、どんな顔を見せてくれるのだろうか。

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