練習不足時のマラソン完走3種の神器 青山剛のランニングナビ

青山剛

(1)小まめにストレッチをはさむ

【Getty Images】

 練習不足でマラソンを走ることになった場合、一番きついのは呼吸ではなく「極度の足の筋肉痛」です。

 とにかく足が棒のように固まってきたり、ヒザなど関節が痛み始めます。従って、20キロを超えたあたりから、約5キロごとで立ち止まり、ストレッチを入れてその痛みを緩和させ、悪化を極力防ぎます。
 もちろん、まずは張ってきている足周りを一カ所につき15秒くらいずつ伸ばすのですが、ポイントは「肩甲骨周り」もしっかり行うことです。肩甲骨周りの動きが悪くなっていると、それだけ骨盤の動きも制約され、結果として足を多用してしまっているので、足→肩甲骨周りの順でストレッチしていきましょう。

(2)エナジージェルを定期的に取る

 過去の連載で「90分の壁はエネルギー切れが主な原因」と書きましたが、練習不足だと普段よりもっと燃費の悪い走りになってしまいます。

【青山剛】

 従って、1時間ごとに1個、もしくは10キロ、20キロ、30キロ、35キロで1個ずつ必ず摂取するように、事前にウェストバックなどに入れてスタートしてください。また、同じく「アミノ酸の顆粒」も2個前後途中で取ることでだいぶ走りが変わりますので、お忘れなく!

(3)スプレー式鎮痛消炎剤を使う

【青山剛】

 最後の最後は、ストレッチ、エナジージェル補給だけではどうしても乗り越えられないような足の重さ、痛さになってしまうランナーも多くいます。そこで利用したいのは「スプレー式鎮痛消炎剤」です。

 20キロを過ぎたあたりから、張りが強くなってきた箇所へ適宜噴霧させてください。これがかなり効きますよ! 私も何度となく助けられた経験があります。なお、最近のレースではスプレー缶の持ち込み禁止大会もありますので、持ち込み物の確認だけは事前にお願いします。
 コーチの私からすると、本当はしっかりトレーニングを行ってスタートラインに立ってほしいのですが、逆にしっかりトレーニングができなかった時にでも「最善を尽くす」ことで、必ず次につながっていきます。
 しかし、本当にほとんどトレーニングができなかった場合は、DNS(Do not start=スタートしないこと)こそが懸命な選択です。レース中に体調を壊し棄権するDNF(Did not finish)になるくらいなら、勇気あるDNSで、また次の大会に向けていち早く準備していきましょう!

※本連載を元にした最新刊「マラソンで自己ベストを出したいなら、全力で走るな!(洋泉社)」は発売中です。

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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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